皆様より人財研修の情報、又は 人材研修情報を読んで「私はこう思う」を募集しています

 あすへの話題

人材の育成
  • 「会社の価値は人で決まる」と言われる。環境が急速に変化する中で市場をリードする商品・サービスを提供し続けるため、企業にとって重要なのはモノ(規模、資金力など)からソフト(企業文化、技術力、ノウハウなど)に移ってきた。このソフトの競争力は経営者を含めた全従業員の不断の努力で強化されるものであり、これを担う人材の育成が企業にとって最重要課題のひとつである。
  • 人材の育成には、全体の底上げをはかるものと次世代のリーダーを育成するものがあるが、いずれの場合も育成計画の実行に入る前に、その成果をどう活用するか考える必要がある。とくに職場を離れての研修に参加した場合、その成果を生かせる挑戦しがいのある業務を用意することが肝要である。このためには、上司の支援が欠かせない。
  • 次世代のリーダー候補の育成には経営的視点や判断力が求められるポジションを経験させるのが有効である。範囲は狭くても経営責任者として、不確定要素の残る中で決断を下した経験、チームのやる気を引き出して目標を達成した経験は将来、より広い範囲で責任ある地位についたとき、大きな財産となる。この点で、企業に求められることは若い層に挑戦しがいのある役割を準備すること、成功するようにできるだけの支援を行うこと、挑戦して期待された結果を出せなかった人に対する再挑戦の場を提供することである。各社とも一度の失敗で優秀な人材を失うほどの余裕はないのではないか。我が社でも最初の挑戦で成果を出せなかった人でも、再度の挑戦で立派な業績を上げている人が出てきており、頼もしく感じている。
  • 日産自動車相談役名誉会長 小枝 至(2008年10月21日 日本経済新聞から掲載)
 働くニッポン (現場発)やる気 再点火

貢献の充足感 原動力
  • 富士通で携帯電話などのソフトを開発する平林俊一(37)はもう一つの顔を持つ。社内の業務とは別に、各地の技術者がネットを使ってボランティアでソフトを共同開発するプロジェクトを主導。その成果で独立行政法人の情報処理推進機構から「スーパークリエータ」に認定された。

    【反響をやりがいに】
  • 開発に夜と休日を費やし、気がつけば明け方ということも多い。報酬はゼロだが、「あなたの作ったソフトが役に立った」という反響がやりがいの源泉だ。「誰かが働きを認め、喜んでくれている」という実感が寝食を忘れさせる。「報酬なしでプロの仕事は期待できない」。米マイクロソフト会長のビル・ゲイツ(52)はかつてこう言い放った。だがボランティアで生まれた「リナックス」はマイクロソフトの牙城を切り崩し、サーバー用基本ソフトで二割超のシェアを獲得。今では世界で三百万人が無償ソフトの開発に参加しているという。
  • 伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎(69)は組織運営における「認めること」の大切さを説く。誰かのために貢献し手応えを感じたいという個々の熱意をくみ上げれば組織は回り、成果が生まれる。米ノースウェスタン大は百社対象の調査で「みとめられた」という社員の充足感と企業業績の間に強い相関関係を確認した。「なぜそこまで…」。財政破綻した北海道夕張市への出向を「やりがいがありそうだ」と応じた東京都職員の鈴木直道(27)。1月の着任初日、地域に尽くす重さを思い知った。
  • 外気は零下10度。夕方に暖房が切れ、職員たちはコートと手袋姿で深夜までパソコンに向かう。同世代の職員は手取り月収が十万円にも満たない。二人の子供を抱え、転職の誘惑と戦いながら働く年配の同僚が言った。「自分が抜けると困る市民が居と思うから踏みどどまれる」。背中を押されるように、鈴木は担当の福祉業務や名産品の売り込みに熱を込める。
  • 南太平洋に浮かぶ人口18万人のサモア。農業と漁業が中心の同国に自動車用組み電線大手、矢崎総業の工場がある。安い労働力を確保するために37カ国に広がる矢崎の海外事業所。それぞれの国で存在感は大きい。サモアでも国民の1%弱、千五百人が働く最大雇用企業だ。5人いる日本人社員の一人、川合邦義(36)は部材調達から出荷までを統括する。街を歩くと「家族がヤザキで働いているんだ」と頻繁に声を掛けられる。自身の働きが国民の生活にまで影響を与える。「必要とされていると肌で感じる」「だれかのために」という個々の思いは会社の姿を変える力を秘める。
  • 8月19日。人材派遣会社、日総工産(横浜市)の執行役員の会議で新規事業の提案が上がった。「農業を始められないか」。提案したのは経営企画本部長の佐藤勇紀夫(49)。ここ数ヶ月、起業調査に奔走し夏休みも返上した。

    【「社会のため」増加】
  • 同社は自動車や家電などの工場に人材を派遣する。景気拡大で人手不足に悩んできたが、今春からは、一変、前年比で千人分の仕事が消えた。働く場をどう確保するか。製造業に比べ雇用に景気変動の影響が少ない農業参入は有力な選択肢だ。「当面は利益を度外視してでも」。佐藤は非正規で働く若者の夢を奪いたくないと意気込む。
  • 内閣府が6月に実施した働く目的に関する世論調査では「お金を得る」が50.1%を占めた。「社会の一員として務めを果たす」は13.9%。2001年比で3.9ポイント増と伸びは最も大きい。自分や家族、会社のため。そして社会のため。働く目的は人それぞれだが、「誰のため」を真剣に自問することから意欲は生まれてくる。(敬称略)(2008年8月30日 日本経済新聞から掲載)

 ほめ上手になろう(現場の大事な潤滑油・・・)

相手に応じ、言葉を選ぶ
  • 職場で円滑に仕事をするには、よりよいコミニュケイーションが大切だ。ほめることも有効な手段だが、苦手と感じる人も多いだろう。「やる気を引き出す!ほめ言葉ハンドブック」(PHP研究所)の著者の一人で、ベンチャーキャピタリストの祐川(ゆかわ)京子さんに、ほめ上手になる心得をまとめてもらった。
  • 私がほめることに注目したのは、以前に勤めていた生命保険会社で、営業スキル研修の講師をしていたときだ。営業成績が良い人の多くは、社内のコミュニケーションが上手なうえに、絶妙なタイミングで上司やお客様をほめていた。「ほめる」こととは、相手に「私はあなたを認めている」と伝えることだ。ある管理職は部下からちょっとした報告を受ける際も「いいねー」「なるほど」「すごいな」と相づちを打っていた。助言や指導する場合も必ず一言、相手をほめてから助言、指導していた。おのずと部下からの報告、連絡、相談は密になり、コミュニケーションが活発な組織になっていた。

    まず周囲を観察
  • ほめ上手になるには、いくつかコツがある。研修などで「自分が言われてうれしい言葉」を書き出してもらうと、驚くほど個人差がある。まずは相手の主張やこだわり、「ほめられたいポイント」をきちんと押さえることが必要だ。周囲への気配りをほめられて喜ぶ人もいれば、センスのよさを認めてもらいたい人もいる。「やせている」といわれて喜ぶ人もいれば、コンプレックスに感じている人もいる。ポイントがずれると、ほめたつもりでも相手に届かない。
  • 相手に届くほめ言葉を知るには、その人が日ごろから使っているほめ言葉を観察することが近道だ。多くの人は自分が言われたいほめ言葉を、ほかの人にも使っているからだ。そもそも、ほめることが苦手な人は、ほめ言葉のボキャブラリーが少ないことが多い。周囲をよく観察しほめ言葉を蓄積できれば、状況に応じて適切な言葉が使えるようになる。ほめるタイミングもつかみやすくなるだろう。定期的に会う相手なら「いつもさわやかですね」などとキャッチフレーズをつけるのも一手だ。

    積極的にお礼を
  • それでもやはり照れくさいという人は、まずは「ありがとう」「助かりました」とお礼を言う機会を増やしたい。「ありがとう」は相手の行動を認めて感謝のきもちを表す一番の「ほめ言葉」。とかく「すみません」を乱用しがちだが、これを「ありがとう」に置き換えるだけでほめ上手になれる。電話を取り次いでくれたり、出入り口でドアを押さえて通りやすくしてくれたり、探せば機会はいろりろとある。
  • 職場でうまくコミュニケーションの取れない相手がいるときなどは、意識的に「ありがとう」という場面つくってみよう。「宴会にオススメの居酒屋」「読んで面白かった本」「こだわりの文房具」など。相手が得意そうなことを質問して答えてもらうといい。相手を直接ほめるだけではなく、第三者に対してその人をほめるのも有効だ。例えば自分の仕事が職場で評価されたとき。仕事の達成を助けてくれた人のことを「この成果は○○さんのおかげです」と評価してくれた人に伝えてみよう。直接ほめられるのもうれしいが、人づてに自分がほめらていたことを聞くことは、さらにうれしいものだ。
  • 最後に、自分がほめられた場合はどうすればいいのか。つい謙遜(けんそん)して「いえいえ」「そんなことあれません」「どんでもない」と返しがちだが、これでは相手の言葉を否定し、意見を認めないことになってしまう。ほめられたときは、「ありがとう」「うれしい」と伝え、相手の気持ちを素直に受け入れたい。相手を上手にほめ、ほめられたら素直に感謝する。そんな職場は活気がある。職場でいい「ほめサイクル」をつくってほしい。(2008年9月6日 日本経済新聞から掲載)

 次世代企業リーダー育成

経営系大学院、質の向上を
  • 大学界と産業界が人材育成について幅広く対話を行い、具体的な行動につなげていく場として、昨年秋、「産学人材育成パートナーシップ」が創設され、中間とりまとめが7月に公表された。「経営・管理人材分科会」の議長を務める清成忠男・法政大学学事顧問(元総長)は特に、経営系大学院の質的向上の重要性を訴える。
  • 大学教育と企業のニーズの間に存在するミスマッチを解消することを目的として、「産学人材育成パートナーシップ」が昨年10月発足した。文部科学省と経済産業省の共同プロジェクトであり、大学人と経済人が意見を交換し、協力して教育の改善を進める。このプロジェクトの意義は、教育再生会議の最終報告に書き込まれている。
  • さて、こうした教育のミスマッチは、とりわけ理工系のポスドク問題として、すでに議論の対象になっている。今回の検討は九分科会に分かれて行われたが、そのうち八つは、「情報処理」「電気・電子」「バイオ」「原子力」「資源」など理工系の分野が占めており、残る一つが「経営・管理人材」であった。これは昨今の経済状況を考慮すると、特別な意味を有している。この度、中間とりまとめが出されれが、「経営・管理人材」の分野でいうと、教育のターゲットは次世代のビジネス・リーダーに絞られた。
  • 今日、経済社会の著しい変動の過程で、どのレベルの経営・管理人材においても、ビジョンや新しい実務能力に基づいたリーダーシップが求められている。とりわけ次世代のリーダーの育成は急務である。

    企業内では限界
  • こうした人材の育成はこれまで企業内で行われてきたが最近では企業が追いつけなくなりつつある。他方、1990年代に入ってから、わが国においていても経営系の大学院が激しく増加してきた。1999年度には専門大学院制度が登場、2003年度には専門職大学院も制度化された。専門職大学院は研究者養成を目的とするのではなく、高度職業人養成を目的としている。
  • 現在、法科大学院以外の専門職大学院の数は、法科大学院のそれを上回り、年々増加傾向にある。そして、その中核的存在はビジネス、M0T(技術経営)、会計など経営系の大学院である。しかも、専門職大学院ではない従来型大学院としての経営系大学院も存在する。こうした経営系の大学院が次世代のビジネス・リーダーの育成にあたるわけだが、問題は経営系大学院の教育が企業ないしは個人の学習ニーズにマッチしているかどうかである。
  • わが国の企業等は、かなり以前から社員を米国の経営系大学院に派遣してきた。ただ、こうした人材を企業等が十分に活用してきたとは言えない。それは、企業等の側に問題なしと言えないし、大学院の教育が日本的経営になじまなかった面もあろう。そもそも米国においても、経営系大学院の教育が常に高く評価されてきたわけではない。評価の高い時期もあれば批判にさらされた時期もあった。もっとも米国では、大学院のタイプも質も多岐にわたっているから、一律に評価を論ずるべきではない。
  • これに対して、わが国においては、企業等が経営大学院を確かな存在として認知しているわけではない。経営学修士(MBA)の学位を取得したからといって所得が上昇するわけではないし、キャリアアップが可能になるわけではない。したがって、経営系大学院の市場規模は小さく、しかも東京などの大都市に偏在している。にもかかわらず、大学院の数は増加しており、個別大学院の規模は総じて小さい。入学定員割れの大学院も少なくない。
  • ところで、大学院教育の質を左右するのは教員の教育力である。米国では、企業と大学の双方向の人材モビリティーが大きい。その結果、アカデミックなバックグラウンドを有し、実務経験の豊富な教員の蓄積が厚い。わが国においては、こうしたタイプの教員の形成が急務である。さしあたりは、複数の大学院が産業界と協力して、短期のエグゼクティブMBAプログラムを実施することが有効であろう。
  • 問題は教育方法である。確立した知の体系であるパラダイムを教えるという方法と、社会人学生の個別のニーズに対応する方法がある。後者が重要であるが、次世代のリーダーといっても多様である。とりわけ業種業態、企業規模、学生の専門性などによって方向性が異なり、学習ニーズも一様ではない。学生は先端化・専門化した学問を取捨選択し、主体的に統合して独自の知の体系を構築する必要がある。こうした統合的学習を支援するのが教員の役割である。支援を通じて、教員の教育力も向上する。

    評価し質を保証
  • いずれにしても、わが国においては、経営系大学院の教育の質的向上をはかる必要がある。質保証のために、専門職大学院においては5年に一度の認証評価機関による評価が義務づけられている。評価は今年度から始まる。質的向上を図るための評価であるから、長所を高く評価し、欠点を是正するという姿勢が必要であろう。今後、大学院相互の協力や産業界と連携して教育の質的向上をはかることが課題になる。教育の質が高まれば企業側の認知度が上昇し、大学院の市場が拡大しよう。結果として、国際的な評価が高まるはずである。
  • ただ、問題も残っている。経営系大学院には専門職大学院でない研究科が存在する。これは5年に一度の評価が義務づけられていない。そして、二通りのMBAが存在している。これは国際的にも例を見ない変則的な制度である。専門職大学院のあり方をも含めて、早急に改善すべきであろう。次世代のビジネス・リーダーを育成するためには、産学人材育成パートナーシップは有効な手段であると思われる。産業界の理解と大学側の教育改善努力が望まれる。(2008年8月20日 日本経済新聞から掲載)
 若手技術者 インド道場

東芝・SEに長期滞在研修
  • システムエンジニア(SE)の不足が恒常化する中、IT(情報技術)企業にとってSEの質の向上が重要の課題になっている。東芝は5年前から若手のSEをインドに送り込んでいる。IT教育先進国のインドで基礎技術を身につけ、外国人とコミュニケーション能力を磨く。異郷に放り込まれた社員はたくましさを増して帰ってきた。
  • インド最大の経済都市、ムンバイから東南東170キロにある学園都市プネ。町の一角で入社2〜3年目の日本人技術者9人が、ソフトウエアの設計パターンについてインド人講師と白熱の議論を交わしていた。教えているのは、インドの政府機関CDAC(インド先端電算技術開発センター)傘の下のIT教育機関「ACTS」の講師。世界中からソフト開発を請け負うインドのSEの技術力は世界トップレベル。そのなかでもACTSは最高水準の研修機関だ。
  • 日本にはIT知識を体系的に教える大学が少ない。東芝は職場内訓練(OJT)を中心に若手SEを育ててきたが、自己流に陥りがちで、問題解決能力も限られた。そこで着目したのがACTSの研修プログラム。東芝は2003年からACTSのカリキュラムを自社向けにアレンジし、若手SEを現地に送って四ヶ月間、合計約640時間の講義を受けさせている。これまで140人の若手が研修を受けた。
  • ACTSのカリキュラムは現場で好評だ。07年に研修を受けた荒谷渉さんは入社後、携帯電話機などに取り込むソフトの開発を担当してきたが、研修を受け「ソフトが作動する仕組みや仕様書の書き方など基本的な知識が欠けていることに気づいた」という。
  • 研修生が身に付けるのはIT知識だけではない。03年第一期生として研修に参加したソフトウェア技術センターの戸谷浩隆さんは「最初2週間は腹痛に悩まされた」振り返る。毎食出てくるカレー、頻繁に起こる停電、猛暑にエアコンはなく、渋滞するクルマの間を練り歩く牛の群れー。異郷での「サバイバル」(戸谷さん)も研修の大きな目的だ。

  • インド研修を立案した技術企画室を山下勝比拡さんは「ソフト作りの知識の取得はもちろん、異文化への適応力の育成も重要な目的」と話す。研修生には「バディ」と呼ばれるインド人の世話役がつく。日本での仕事を希望するほぼ同世代にインド人研修生とコンビを組み自由時間を過ごす。
  • 戸谷さんのバディは同じ年のスレンドラーさん。戸谷さんは研修前に社内情報システム構築などである程度ITスキルを身につけていたつもりであったが「知識や理論が豊富で分野によってはかなわない」。何よりの驚いたのが、スレンドラーさんの日本語の上達スピードだ。戸谷さんの英語力よりも上達が早かったという。。

  • バディとの時間から得るのはコミュニケーション能力だけではない。「目標を掲げ寝る間を惜しんで勉強するバディの向学心は刺激になった」(06年に研修を受けた秋山健さん)、「夢を堂々と語る未来志向のインド人は新鮮。負けられないという気になった」(戸谷さん。10億人がひしめき合うインドで個人の実力を頼りにSEで身を立てようとするインド人のハングリー精神は、何よりの教材だ。
  • 東芝は今年からインドで幹部候補生の研修も始める予定。西田厚聡社長は経営方針に「グローバル人財の育成」を加えた。インドで異文化コミュニケーションを学んだ若手は東芝のグローバル化の切り札になりそうだ。(2008年5月12日 日本経済新聞から掲載)
 働くニホン・そこにある人財

異質が吹き込む風・息切れ職場活力再び
  • 武蔵野赤十字病院(東京都武蔵野市)副院長、高橋高美(59)は四月下旬経営数字を確認し胸をなで下ろした。2007年度の決算算が黒字化したのだ。

    患者目線で改革
  • 年前、高橋は全国に92ある日赤病院で初めて看護師出身の副院長になった。患者視点の経営改革にひた走る。R診療科ごとの壁を壊し、空きベットの自在な融通で患者の受け入れを拡充。
  • 「空きがあるのに入院を断っていては地域医療に貢献出来ない」。若い医師や職員にも協力を呼び掛ける。ベッドの利用率は上向き、利益を生んだ。
  • 診療報酬抑制などで病院経営は厳しさを増す。「経営者は医師であるべきだ」。こんな見えない壁にこだわっている余裕ない。異質な存在だった「ナース副院長」が組織を変える
  • 六本木、汐留、横浜みなとみらい…。菓子製造のシャトレーゼ(甲府市)の品質管理担当、北野和彦(34)は休日返上で流行のスポットを回る。首都圏進出プロジェクトの一員として、どんな商品や接客が指示されているかを探る。
  • 「プロのサラリーマンになろう」。北のは昨年9月に社長に就いた杉野正(49)の言葉が忘れられない。杉野は旅行大手エイチ・アイ・エスから転じて第三セクターのしなの鉄道(長野県上田市)、埼玉高速鉄道(さいたま市)を相次ぎ再建したプロの経営者。
  • 年功序列など硬直的の人事制度に風穴を開け、社員のやる気を引き出した。
  • 郊外店で成長してしたシャトレーゼにとって都心は未知の世界。異質の杉野は「商品構成や配送システムなど事業モデルをがらりと変える」と宣言する。
  • 心理学に「学習性無力感」という言葉がある。気質の荒い魚カマスとえさの小魚の間を透明の板で仕切る。
  • カマスは体当たりを繰りがえすが、無駄だと分かると板を外しても小魚を狙わない。「何をしても仕方がない」。忙しさに追われ、息切れムードが広がる職場の姿に似てはいないか。
  • 実験には続きがある。別のカマスを水槽に入れるのだ。猛然と小魚に襲いかかる様子に、無気力だったカマスが目を覚ます。外から飛び込む刺激は活力を取り戻す即効薬になる。
  • ただ効き目が強い分、副作用もある。自動車部品のユーシンは二月末、創業家の田辺耕二(72)が社長に復帰した。投資ファンドの紹介で前の社長を迎えたが、繰り出す拡大策が社内指示を得られず1年余りで退社。混乱が残った。
  • もっとも田辺は元の同族経営に戻すつもりはない。「海外戦略を指導でき経営者が必要」と人材を広く社外で探す。

    留学生に採用殺到
  • 異質の発想ができる人材をどう取り込み、育てるか。ヤマハ発動機の人事部長、橋本義明(53)も同じ悩みを抱える。
  • 「卵はなぜあの形なの」「富士山を動かすには」。同社は答えのない問題で学生に討議させる独特の採用手法を今春は見送った。ネットで試験内容が広まり、奇抜な発言のようでも周到に準備がされていた。
  • それでも橋本は「人材が金太郎あめであってはならない」を言う。新たな異能獲得の手段に智恵を絞る。
  • 若い異質の人材を求める企業が注目するのは外国人留学生だ。四百社の採用担当が足を運ぶ隠れた人気大学が大分県別府市にある。留学生が四割を占める立命館アジア太平洋大学。
  • 松下電工入社式で、百六十五人を代表し辞令を受け取ったのは同大学卒業の女性ウズベキスタン人だった。留学生の活躍にはこんな事例がある。昨年末まで交流サイト大手ミクシィの最高技術責任者を務めた衛藤バタラ(28)はインドネシア出身。日本留学中にアルバイトで入社した。交流サイト作りを提案し自ら開発、同社をこの分野の先駆者にした立役者だ。
  • 異文化の衝突という副作用を恐れていては何も変わらないことに日本の会社は気づきは始めた。異質を「人財」として生かすための手探りが続く。
  • 「働くニホン」取材班(2008年5月8日 日本経済新聞から掲載)

 まなび再考(増える博士人材)

キャリアパス多様化を
  • お茶の水女子大学では、大学院版のオープンキャンパスを昨年から催している。
  • 「そんなニーズがあるのか」と言う悲観的な予想を裏切って、今年も参加者は約4百人。
  • 1991年の大学審議会答申は大学や企業の専門人材に対する需要増を見込んで、約十年間で大学院数を倍増させるよう提言した。その後、96年の科学技術基本計画によって、学位を得たポストドクターに対する手厚い支援体制が整った。いまや大学院生は26万人強と、91年の2.7倍にまで膨らんだ。
  • 政策的に増やされた博士人材は、無事ポストを得ることに成功しているのだろうか。
  • 学位取得後にポスドク研究員に採用された者は、その後大半が常勤研究職に就いているというデータがある。けれども人文社会系など採用されにくい領域もあり、学位取得者の就職率は全体で6割を下回る。
  • ただ、博士人材はもはや供給過剰として、大学院縮小政策への転換を求めるのは短絡的に過ぎる。人口千人当たりの大学院学生の比率は、米国4.4,フランス4.1,英国3.7にたいして日本は2.0にすぎない。
  • 博士人材のキャリアパスを研究職以外にも開いて多様化するにはなにが必要なのか。最高学歴の所有者が、高学歴ゆえに無業者とならざるを得ない構造は、彼らが不幸であるだけなく、社会的損失のはずである。(お茶の水女子大学教授 耳塚寛明)(2008年5月5日 日本経済新聞から掲載)

 人づくりの現場(その3)

羽ばたけ 女性監督者・職人技も熟練者が指導
  • 「この素材はどこを削ったらいいでしょう」
  • 大阪府門真市の松下電工微細プロセス開発センター。白い作業着をまとい、切削工具に向かう団野佐知子さん(30)が真剣な表情で質問した。
  • 「どの断面を削るか一緒に考えよう」と答えるのは章句場の先輩である蕨野和也さん(35)だ。
  • 他社製品などを「解剖」し、電子顕微鏡などを使って評価試験するのが団野さんたちの仕事。回転する半導体の治具を当てて削るが、素材や部分で力の入れ具合や切る角度が微妙違う。職人技を懇切丁寧に教えるのは、入社11年目の団野さんが女性監督者の候補者になったためだ。
  • 松下電工の製造現場で働く約三千人のうち女性比率は41%と電気業界でも高め。だが製造ラインなどを指導する監督者の女性比率は3%にとどまる。
  • 女性幹部を増やそうと昨年導入した育成制度は、職場ごとに監督者候補を選び、熟練した指導員と二人三脚で能力を高める。3〜5年で30人と監督者を育てるのが目標だ。
  • 「帰りはやはり遅い?」「職場ではどこに飲みに行きますか」。京都府京田辺市の同社研修所。寄せ鍋をつつき、話がはずむ。技術者13人と監督者2人は全員女性。一泊二日の研修合宿だ。
  • 団野さんは上司に勧められて監督者候補に。昇進には全く関心がなく、仕事と家庭の両立にも不安があった。だが夫とも相談し「職場が後押ししてくれるなら」と一念発起した。
  • 「昇進の道を広げれば優秀な人材の可能性を引き出せる」と、ものづくり人材育成グループの小多田正美さん(53)は言う。働く女性から現場を引っ張る女性へ。ここでもひとづくりの模索が続く。(2008年5月8日 日本経済新聞から掲載)

 ひとづくりの現場(その2)

パズルで管理職革命・部下との連携大切さ体感
  • 人材研修会社、アチーブメント(東京・品川)の会議室。「十六本のマッチ棒でつくった五つの正方形を四つにかえてください。動かせるのは二本だけです」。講師の大杖正信さん(56)が十四人の参加者に課題を説明した。
  • 四月下旬、都内の企業などから管理職を集めて実施した研修「モチべーションエンパワメントプログラム」のひとこま。机はついたてで仕切られ、他人の動きは見えない。ほをづえをついて考え込む人。手元のマッチ棒を持て余す人。8分の持ち時間は瞬く間に過ぎ、完成できなかった人からはため息が漏れた。
  • パズルの研修は「上司と部下とのかかわりを体感してもらうため」と主席トレーナーの佐藤英郎さん(57)は語る。管理職の人々は経験に裏打ちされた持論にこだわる人が多いという。参加者はパズル開始前に「周囲の係員にヒントを求めてもいい」といわれたが、実際に助けを求めたのは3,4人だけだった。
  • 講師の大杖さん「助けを求めることをどう思いますか」と聞くと、「甘えだと思っていた」「達成感がない」といった声が返ってくる。目標達成と部下の育成を同時に求められる管理職は、とかく独りよがりになりがちだ。
  • それより、周囲に積極的にヒントを求めた方が目標達成の近道となることも多い。「(上司と部下が)支援し合うと、援助の輪が広がる。チームの仕事もうまく回るのではないですか」と最後に大杖さんが語りかけると、参加者は納得の表情を浮かべていた。
  • 聞き流しの座学でなく、パズルでアタマをやわらかくして、仕事のやりかたを見直してもらう。多忙で自らを見失いがちな管理職たちを目覚めさせるひとつの試みだ。(2008年5月6日 日本経済新聞から掲載)

 ひとづくりの現場(その1)

「心の研修」新人にも 離職に歯止め、タフさ養う
  • 「自分の小さな入力ミスでお客が出国できなくなり、厳しく怒鳴られた。どう考えますか」
  • 中堅旅行会社のエス・ティー・ワールド(東京・渋谷)が4月中旬、32人の新入社員に実施したメンタルヘルス(心の健康)研修。「ミスの原因を探す」「仕事が向いてないと考える」「酒を飲んで忘れる」などの選択肢からグループごとに答えを話しあう。
  • 「職場のストレスは個人で解決できない問題か」と聞かれ、新入社員の回答は割れた。講師の正解は×。
  • 「厳し上司がストレスの原因でも、彼を替えるのは不可能。解決可能な原因から取り除こう」と説明する。
  • 華やかそうな旅行業者も繁忙期は激務続き。理想と現実の差は大きい。心の研修には「ストレスで離職する新人を減らしたい」(高沼執行役)という会社側の思いがある。
  • 「心の健康」は中高年社員の問題と思われがち。だが新卒採用支援会社、アトラクスヒューマネージ(東京・江東)の斎藤亮三社長は「新人向けに研修をする企業が昨年あたりから急に増えた。」と話す。
  • 労働行政研究所の調査では、非製造業で20才代のメンタルヘルス不調者が「3年前に比べて増えた」と答えた企業が50%に達した。
  • 帝人グループは4月上旬、広島県三原市の禅寺に工場配属予定の新入社員80人を集め、座禅の研修を二泊三日で実施した。「新人に精神的なタフさを養ってもらう」ために昨年から復活した。「心の健康」もいまや人づくりの必須科目だ。

  • 「人財」を育てるさまざまな現場を探った。(2008年5月2日 日本経済新聞から掲載)

  09'採用前線、主要企業アンケート

前倒し一段と強まる、「内々定出した」5ポイント増の74%、解禁から半月で
  • 主要企業による新卒採用活動の「前倒し」が一段と進んでいる。
  • 2009年春入社の新卒採用活動でで、四月中旬までに内定を出した企業は74%に上り、前の年より5ポイント増えた。5月末までに内々定を出し終える企業も20ポイント上昇の58%に達した。
  • 企業は採用活動のピークを早めている。
  • アンケートは4月14日から16日にかけて実施、49社が回答した。
  • 採用活動の解禁から2週間強で8割弱の企業が内々定を出したことになる。
  • 内訳は「一部出した」が70%、「ほとんど出した」が4%、「出していない」は25%にとどまった。
  • キャノンや第一三共、東京電力など15%の企業が08年春入社の新卒採用活動に比べて内々定を出す時期を「やや前倒しした」と答えた。
  • 内々定を出し終える時期については、「4月末」と「5月末」がそれぞれ29%、「6月末」15%を合わせると73%の企業が6月末までに実質的な採用活動を終えることになる。
  • 内々定をだすのは4月以降だが、企業と学生の接触はその半年前から始まっている。
  • 2009年春卒業予定の学生を対象にした就職セミナーを最初に開いた時期を聞いたところ47%の企業が「07年9〜10月」 と回答した。
  • 採用活動の前哨戦は大学三年生の秋に始まっている。
  • 企業は大学三年生を対象にした就職セミナーを開き、ここで学生と接触しておき、4月の解禁と同時に一斉に内々定をだすパターンが定着しつつある。
  • セミナーの開催時期も早まっており、今回のアンケートでもアサヒビールや鹿島など、全体の24%がセミナーを前の年に比べて「前倒しした」と答えている。(2008年4月22日 日本経済新聞から掲載)

<就職人気企業>大学生は安定志向? 不況に強い業種が上位


       不況に強い大手企業人気、ベンチャー企業ランク外
  •  就職情報会社のダイヤモンド・ビッグアンドリード(本社・東京都港区)が、大学生の就職人気企業ランキングを発表した。不況に強いと言われる金融、食品などが人気を集め、ベンチャー企業は姿を消した。大学生の安定志向が浮かんだ。
  •  就職活動中の大学3年生と大学院1年生3万8000人を対象に調査、3807人から回答を得た。
  •  文系男子では、三菱商事が前年に続いて1位、2位が三菱東京UFJ銀行(前年3位)など上位を金融、商社系が占めた。文系女子も同様の傾向。理系男子は日立、松下電器が2年連続で1位と2位。次いでソニー(前年9位)など電機産業に人気が集中した。理系女子は化学・化粧品、食品などに分散した。
  • 全体では、安定志向が目立ち、金融や化粧品、食品会社などのランクが上昇した。昨年偽装が問題になった食品業界の動向が注目されたが、ロッテや日清製粉、日清食品、ハウス食品などは、それぞれランクを上げた。一方で、一昨年、文系男子で92位だった楽天や106位だったサイバーエージェントなどのベンチャー系は昨年に続き今年もランクに入らなかった。ダイヤ社は「安定した大手志向と食品など不況でもなくてはならない企業が人気だ。景気はまだ良いはずなのに、学生の志向は不況型だ」と分析している。

    (2008年1月10日 毎日新聞より掲載)

就職活動「楽」、4年連続トップ


        漢字1文字で表現−民間調査
  • 就職活動を「楽」と感じた学生が4年連続トップだったのに対し、内定を取れず「苦」とした割合も急上昇−。就職活動を漢字1文字で表現するアンケート調査から、大学4年生などの間にも「格差社会」が広がっている実態が浮かび上がった。
  • 就職情報サイトを運営する「毎日コミュニケーションズ」が実施した調査の結果によると、就職活動を表す漢字は「楽」が5.7%で4年連続トップ。「楽に内定がもらえた」「いろんな人に出会えて楽しかった」などの回答が目立った。
     昨年4位(2.6%)だった「苦」は4.7%で2位に急上昇し、苦戦したとの理由が増加。3位以下には「迷」「動」「悩」といった定番が続いた。
  • 同社の調査では、全体的には昨年より内定が得にくくなった半面、1人当たりの内定保有率は6月末時点で0.26社増の2.29社となった。同社は「内定が一部の学生に集中し、2極化している」と分析している。 

    (2007年8月25日 時事通信より掲載)

学生つかまえろ!警視庁がリクルーター制度


        団塊の大量退職「穴埋め」
  •  警視庁の若手警察官が大学の後輩を勧誘する「リクルーター制度」が、好発進した。団塊世代の大量退職の穴を埋める人材を確保するための制度だが、企業が景気回復で求人を増やす厳しい採用環境で、首都圏の県警で採用試験の受験者数が激減する中、受験者数を引き上げた。売り手市場の学生が、秋採用で別の就職先に流れるケースも多く、警視庁はリクルーターを、内定者のつなぎとめにも投入。ほかの道府県の警察本部にも、制度導入の動きが広がっている。
  • 警視庁によると、団塊世代が60歳の定年を迎え始め、今年度は昨年度より600人多い約2370人が退職。5年後まで毎年、退職者は2000人を超える。退職者の穴を新規採用で埋め、「質の高い人材を獲得するには採用試験の受験者数を増やし、高い競争倍率を維持する必要がある」(警視庁幹部)。
     だが、採用試験の合格倍率は、景気低迷による民間の採用減の影響でピークとなった平成7年度の23.8倍から昨年度は6.5倍に低下。危機感を持った警視庁は昨年8月、リクルーター制度を導入した。
  • リクルーターには、大学卒業から3年以内の警察官で、全国92大学出身の120人を指名。母校のゼミやサークルを訪問し、受験希望者を探したり、受験を勧めた。「きめ細かく学生と接し、警察官としての資質を見極められるメリットもあった」(同庁警務部)。
     今年5月の第1回採用試験では、男性警察官の受験者数は昨年より89人増の5638人。このうち、2割程度がリクルーターの勧誘による受験者だった。リクルーター以外の警察官や職員も含めた勧誘による総受験者数は3419人で、昨年より635人も増えた。
  • 警務部は「リクルーター制度の導入が起爆剤となり、全体の勧誘活動も活発化した。無策のままだと、受験者数は大幅減になったはず」と分析する。実際、埼玉県警は昨年より573人、神奈川県警は467人の大幅減で、千葉県警も127人減少している。今年に入り、静岡、富山、岡山県警などがリクルーター制度を導入。警視庁の結果を受け、ほかの警察本部にも波及が予想される。 
  • ただ、企業は秋採用にも積極的で、気は抜けない。リクルートワークス研究所の大卒求人倍率調査によると、来年3月卒業予定の大学生・院生に対する民間企業の求人数は93万3000人と、昨年より10万8000人多い売り手市場。「例年は約2割の内定辞退者が出るが、今年は増える恐れもある」(警視庁の採用担当者)と警戒する。
     このため、辞退防止にもリクルーターを活用する。「警察学校はどんな所か」「入庁するまで勉強しておくべきことはあるか」。リクルーターは内定者とメールなどで連絡を取り合い、こうした不安や疑問に答えるケアを行い、辞退しないよう働きかける。
     
    (2007年8月18日 産経新聞より掲載)

「転職したい」新入社員急増、人材各社への登録2―4倍に


        大量採用の反動・移り気懸念も
  • 今春に入社したばかりで早くも転職を希望する新社会人が増えている。人材紹介最大手のリクルートエージェント(東京・千代田)には6月半ば時点で前年同期の2倍の新社会人が転職希望を登録。他の紹介会社でも前年を上回る多数の希望者が集まっている。企業が大量の新卒採用を進めた結果、人材と職場のミスマッチが増えたとの指摘が多い。だが転職で必ずしも期待通りの職場が見つかるわけではなく、大学などには若者の移り気を不安視する声も出ている。
  • リクルートエージェントが4月1日から6月15日の間に転職希望を登録した新社会人の数を調べたところ、昨年の同じ期間に80人だった登録者数が今年は170人に跳ね上がった。一昨年以前は年間で数人程度だったといい、ここ1、2年で急増した形だ。
  • 同業のキャプラン(伊藤忠商事系、東京都港区)の新社会人の登録者も現時点で約80人。「一年を通じて二百人弱だった昨年度の3割増し以上のペースになる。」(紹介部門)転職支援サービス「DODA(デューダ)」を手がけるインテリジェンスは登録者数を明らかにしていないが、6月末時点でみると昨年の4倍以上に増えているという。
  • 人材紹介各社はここ1,2年の企業による新卒採用の競争の激化が背景にあるとみる。リクルートエージェントに登録した新社会人の転職希望理由をみると「会社が合わない」「配属が不満」などが上位を占めた。「就職活動で苦労していないので希望と違うと思えばためらいなく動き、自分にはほかの選択肢があるという意識が強い。」と同社は分析する。インテリジェンスは「入社前と後でギャップを感じる人が多い。人を集めるため、企業側も長所ばかりを強調した傾向があった。」(人材紹介事業部)と指摘する。
  • 以前は中途採用の場合、最低でも2,3年の経験が必要とする企業が多かったが、新卒採用だけでは人材が足りない企業が経験のない新社会人の中途採用に前向きになりつつあることも早期転職の傾向を強める要因になっているようだ。
  • 移り気な若者の増加に大学は頭を痛める。立教大学の加藤敏子キャリアセンター事務部長は「働くとは何かという根本的なことを考えず就職自体が安直になっている。」と指摘。上智大学の重村均キャリアセンター長は「(企業から見ても)大学は何を指導しているのだということになる。」と危機感を募らせる。
    (2007年8月3日 日経新聞より掲載)

ニートの8割「うしろめたい」自覚 就労も1カ月以上経験


        ニートの8割「うしろめたい」自覚 就労も1カ月以上経験
  • 仕事に就かず、学校にも通っていない「ニート」と呼ばれる若者の8割が、1カ月以上の就労経験を持っていることが28日、厚生労働省の委託調査で分かった。また8割が自分自身の現状を「うしろめたい」と感じていた。厚労省は「単なる就職支援や励ましではなく、孤立化・孤独化を防ぐ継続的な支援が必要」としている。
  • 調査は、財団法人社会経済生産性本部が実施。ニートの若者の相談に応じる地域若者サポートステーションの利用者418人と、集団生活で脱ニートに向けた生活訓練を行う若者自立塾の参加者409人にアンケートを行い、専門家会議(座長、宮本みち子放送大教授)が分析した。これほど大規模なニート実態調査は初めてという。
  • 調査の結果、連続1カ月以上の就労経験のある人は79%で、就労経験回数は平均2・6回。就職する能力は持ちながら、仕事が続けられずニートに陥ったことが浮かび上がった。
  • 出身家庭の経済状況については「苦しい」37%、「普通」47%、「余裕がある」14%で、ニートが「裕福な家庭」の出身者の問題ではないことも分かった。
  • 進学状況は同世代と同水準だったが、高校、大学・短大、専門学校のいずれかの段階で中退していた人が31%にのぼり、37%が不登校を経験。いじめを受けた経験は55%、引きこもり経験は50%にのぼっていた。
  • また、ニートであることについて「うしろめたい」が83%。「社会や人から感謝される仕事がしたい」も83%で、多くの人が就業意欲を持っていた。その一方で、81%が「仕事をしていくうえで人間関係に不安を感じる」と答えた。
    (2007年6月28日 産経新聞より掲載)

今春の大卒就職率96.3%・高卒内定率も96.7%に


今春の大卒就職率、最高の96.3%・高卒内定率も96.7%に
  • 4年制大学を今春卒業した就職希望者の就職率が前年度比1.0ポイント高い96.3%になったことが厚生労働省と文部科学省の調査で15日、分かった。7年連続の増加で、1996年度の調査開始以降、最高となった。また今春の高校新卒者の内定率も厚労省まとめで同0.9ポイント高い96.7%。
  • 厚労省と文科省はバブル崩壊後の景気低迷で大卒の就職が厳しくなったことを受け、96年度から調査を開始。厚労省若年者雇用対策室は「就職氷河期から景気が回復したほか、団塊世代の大量退職に備えて企業が採用人数を伸ばしている」と分析している。 
  • 大学生の調査は、今年3月卒の国公私立大62校の学生のうち、就職を希望する約4800人を対象に4月1日現在での就職状況を両省がまとめた。大卒男子と大卒女子の就職率はそれぞれ、前年度比1.1ポイント高い96.6%と同1.0ポイント高い96.0%。大学生の就職率は00年3月卒業の91.1%を底に回復に転じ、7年連続で上回っている。
    (2007年5月15日 日経新聞より掲載)

30歳代の8割が仕事の将来に不安


「仕事の将来に不安」30歳代の82%…読売ネット調査
  • 年功序列制度の崩壊と成果主義の導入など労働環境の大きな変化にさらされ、「受難の世代」と言われる30歳代を対象に実施した、読売新聞社のインターネット調査で、「仕事の将来に不安を感じている」人は「大いに」「多少は」を合わせて82%に上った。
  •  また、「仕事でストレスを感じている」人も計82%を占めた。ストレスの原因(複数回答)は、〈1〉「収入が増えない」(64%)〈2〉「会社や業界の将来性、安定性に不安」(34%)〈3〉「人間関係がうまくいかない」(30%)――の順だった。
  •  30歳代は主に前半が就職氷河期組、後半がバブル期入社組とされ、所得などの格差が顕著だと言われるが、「正社員」と「派遣・契約社員など非正規社員」との間の所得格差を「現在、感じている」という人は計76%に上った。  
    (2007年5月14日 読売新聞より掲載)

24歳未満の失業率なお高水準


「フリーター200万人割る」
  • 総務省が2日発表した2006年の労働力調査によると、15歳-34歳の若年フリーター数は前年比14万人減の187万人となった。減少は3年連続で、統計が比較可能な2002年以降では初めて200万人を割った。雇用改善は非正社員の若者層にも徐々に波及してきた。
  • 柳澤伯夫厚労相は同日の閣議後会見で「フリーターが基本的に正社員化、常用雇用化している」と評価した。
  • 家事も通学もせず職業訓練も受けていない「ニート」と呼ばれる若年無業者数も前年比2万人に減り、62万人になった。ニート数は2002年以降、4年連続で64万人と高止まりしていた。
  • 総務省が同日発表した1月の完全失業率(季節調整値)は4.0%と前月比横ばいだった。同月の完全失業者は264万人と前年
    同月比28万人減少した。
  • 企業などに勤める雇用者数は5450万人と前年同月より48万人増えた。ただ24歳以下の完全失業率は前年同月比0.6ポイント上昇の8.4%となお高水準にある。
  • 厚生労働省が同日発表した1月の有効求人倍率(同)は1.06倍と前月を0.01ポイント下回った。全体の有効求人倍率が下がったが、正社員の同倍率は前年同月比0.01ポイント上昇し0.67倍となった。
    (2007年3月5日 日本経済新聞より掲載)

 若者5割 フリーター経験


「夢探求型4人に1人」
  • 18-29歳の男女の半数がフリーターまたはフリーター経験者であることが、労働政策研究・研修機構の調査でわかった。フリーターでいる期間が長期化し、5年前の3人に1人から割合が高まった。このうち正社員になろうとしたことがあるのは4割にとどまり、長引いた雇用環境の悪化で、正社員になるより仕事以外にやりたいことを目指す「夢追求型」フリーターが4人に1人いた。
  • 昨年2月、東京都に住む現役学生を除く18歳-29歳の男性1208人と女性953人の型1981人から聞き取った。フリーターまたはフリーター経験者は、全体の50.9%(1,008人)を占め、2001年の前回調査から14.7ポイント上昇。特に女性は割合、上昇率ともに男性を上回ったほか、18-19歳は男女ともに7割を超えた。
     
  • またフリーター経験者らで「正社員になろうとしたか」との質問に回答した男女998人のうち、「なろうとした」と答えたのは415人(41.6%)で22.1ポイント増え、正社員へのこだわりがなくなってきた。
     
  • 調査では聞き取り結果から、仕事以外にしたいことがある「夢追求型」、やりたいことを探したい、または正社員になりたくないといった「モラトリアム型」、正社員になれないが家庭の事情などでやむなくフリーターになった「やむを得ず型」に分類。
  • 分類できた898人のうち、44%がモラトリアム型で、夢追求型は24.5%、やむを得ず型は31.4%だった。前回に比べ、モラトリアム型が2.9ポイント減った反面、夢追求型は10.8ポイント増えた。
     
  • 同機構は「フリーターが珍しくなくなり、30歳ぐらいまでは続けていても良いと考える人が多くなった上、フリーターでも生活できるようになり自分の夢を追いかける人が増えているのではないか」と分析している。
    (2007年2月20日 日本経済新聞から掲載)
ニッポンの教育
  ニッポンの教育

「不振の連鎖を断て」
  • 2007年から還暦を迎える団塊世代の大量退職に危機感を抱く日本の製造現場。企業を悩ませているのは熟練技術者の退場だけではない。「スイッチをここに配置して…」。兵庫県三田市の三菱電機の人材開発センター。今年からはじめた大学院卒後技術系の新入社員を対象にした基礎力向上教育では、大学三年レベルの電子回路の設計に四苦八苦する社員の姿が目立つ。研修は直流、電気抵抗など教科書にあるような基礎的内容。「優秀な成績で修了したはずなのに現場に必要な基礎がごっそり抜けている。このままでは品質管理に影響が出る。」と杉本明センター長は危機感を隠せない。
        
  • 小中学生の親の中心層である35−45歳は、戦後最も厳しいカリキュラムで学んだ世代。当時は受験戦争が社会問題となり、管理教育への批判が強まった。その対策として生まれたゆとり教育だったが、受験競争は一層精鋭化する形で残り、取り残された子供の学力低下が深刻になるという皮肉な結果を生んだ。
        
  • 教育の「質」の管理を怠った結果、高校生の履修漏れやいじめなど教育現場から問題が噴出し、かつてない学校不信が起きている。
        
  • 「宿題は出さないで。塾の勉強の妨げになる」「子供が石を投げて学校の窓ガラスを割ったのは石が校庭にあったせいだ。」教育現場では非常識ともいえる親たちのクレームに振り回される。しつける力の低下も無視できない。
        
  • 企業は「学校は役立つ人材を育てていない」と言い、親は「今の学校で子供がきちんと育つか不安」と言い、教師は「何でも学校に押しつけられても困る」と言い返す。不満をぶつけ合うだけでは改革は進まない。
        
  • 「ニッポンの教育」が袋小路に陥っている。社会から孤立したように変化を拒み、将来図も描けない。二十一世紀に必要な教育とは何か。学校だけではなく、親も企業も地域も自らができることを考えなければならない。(2006年12月4日 日本経済新聞から掲載)

  ニートの就労支援拡充・厚労省来年度

労働力不足にらむ
  • 厚生労働省は進学も就職もしない若年無業者「ニート」の就労支援を重点強化する。各地に設置しているニート向けの相談施設を2007年度に50拠点へと倍増するほか、合宿形式の支援施設も現在の25から40カ所に増やす。景気回復で雇用環境の改善が進む中でもニート人口は厚労省推計で64万人と高止まりが続く。少子高齢化で将来の労働力不足が懸念されるなか、対策が急務になっている。
  • 厚労省が全国展開を加速するのは06年度から設置を始めた相談施設の「地域若者サポートステーション」と合宿形式の「若者自立塾」。同省は07年度の概算要求に両事業で約27億円と、06年度予算のほぼ2倍の額を盛り込んだ。(2006年9月4日 日本経済新聞から掲載)

  就職活動に個人情報保護の壁

企業が大学同窓名簿出さず
  • 大学生の就職活動シーズンを迎えて、卒業生から体験談を聞いて企業研究に役立てる「OB・OG訪問」ができず、学生に戸惑いが広がっている。
    昨年4月に施行された個人情報保護法を盾に取り、企業が大学にOBらの情報を出し渋るようになったためだ。
    OB・OG訪問を希望する学生は依然多く、仙台市内の大学は独自に名簿を作ったり、同窓会を活用したりして対策に乗り出した。
  • 個人情報保護法の施行前、企業が大学に求人票を提出する際「卒業生もいるので後輩たちにも入社してほしい」とOBやOGの名簿を添えるケースもあった。
    施行後は一転「本人の了解を得ていない」と名簿を出さなくなり、学生が個人的にOBらの紹介を企業に頼んでも断られるという。
  • 「大学出身者の名簿を提供するよう企業に依頼しているが、なかなか応じてもらえない」と東北学院大の桔梗(ききょう)元子就職課長は嘆く。
  • 仙台市内のほかの大学でも「企業に卒業生がいるかどうか質問しても、答えは『います』だけ」(東北福祉大)と状況はほとんど変わらない。
  • アイリスオーヤマ(仙台市)の人事課は「個人情報保護法が施行されてからは外部に名簿を出していない。採用者数が多い場合、提供してもいいかどうか、社員一人一人に確認するのは大きな負担だ」と本音を漏らす。
  • 東北大法学部4年の女子学生(22)は、サークルの先輩らを頼って卒業生2人から苦労話などを聞くことができた。「働くことの具体的なイメージを持つことができた」と意義を強調し、「OB・OG訪問ができなくては、就職活動にとって大きな痛手」と同級生らを心配する。
  • 東北大は本年度、学生向けに、卒業生の就職先の一覧資料を独自に作り始める。
    卒業生が進路状況届を大学に提出する際、勤務先を公表していいかどうかも記入してもらい、了解が得られた分は就職活動中の学生に閲覧できるようにする。
  • 東北福祉大は、OBらが集まる都道府県単位の同窓会に、就職活動中の学生が参加できるよう働き掛ける考え。
    2001年から実施している現役学生と卒業生との集いにも力を入れる。
  • 福祉大の江尻行男就職部長は「従来のようなOB・OG訪問は、めっきり少なくなった。大学が積極的に設けるなど新しい形を工夫しなくてはならないだろう」と指摘している。(2006年6月日22河北新報から掲載)

  ニート 家族で救う

職探しもしない無業の若者「ニート(NEET)」。もしわが子がニートになったらどうしたらいいか。あるいは、ならないようにする方策はあるのか。わが子ならずともニートの救済は大人たちの責務でもある。家庭や地域社会で何ができるのかをまとめた。

子どもをニートにしないための6カ条

  • 親世代の価値観を押し付けない
    自分たちの世代と今の若者の幸福感には大きなギャップがある。子どもたちに自分の成功体験や価値観を押しつけてはいけない
  • 働くことの楽しさを伝えよう
    会社から疲れて帰ってきた父親を見て「仕事は苦しいもの」と刷り込まれた子どもは意外に多い。折に触れて働く喜びを伝えよう
  • 経験談を通じて職業観をはぐくもう
    「どうせどの仕事も大して変わらない」と考えるニートに対して、仕事の多様性や達成感の違いを話して聞かせるのも大事
  • とにかく子どもとたくさん会話する
    核家族化や少子化で若者のコミュニケーション能力が低下している。家での会話の機会を増やし、きちんと褒めるのも大切
  • 甘やかすのではなく、甘えさせよう
    親に甘えさせてもらえなかった子どもは他の誰にも甘えられなくなり、社会の中で孤立する。愛情をもって甘えさせることも必要
  • 家族の中だけで抱え込まない
    ◆ニートは社会全体の問題。解決策を考えるのも本人と家族だけでなく、支援団体や行政など広く社会全体に知恵を求めよう
    (注)関係者の話を基にまとめた(2006年2月5日 日本経済新聞から掲載)

  意思伝達力 採用で重視

採用選考で重視するポイント

  • 日本経済団体連合会が会員企業を対象に実施した2005年度新卒者採用アンケートによると、選考で最も重視した点(複数回答)は「コミュニケーション能力」(75.1%)がトップだった。
    次いで「チャレンジ精神」(52.9%)、「主体性」(52.9%)、「協調性」(48.7%)となった。
  • 採用を始めた時期は「4月」が45.6%と最多で、「3月」(26.1%)、「2月以前」(17.9%)と続いた。
    企業の14.7%が採用時期について「昨年よりも早くなった」と回答している。(2006年2月27日 日経新聞より掲載)

  企業と学生 認識にズレ

就職活動にらみアルバイト
就職活動に役立つとして、アルバイトに汗をかく大学生が増えている。
即戦力としての実力をPRできると考えてのことだが、企業の意識とは微妙な差がある。
店頭での調理や接客に忙しい毎日。支えは、かつて聞いた言葉だ。

  • 東京都内の日本マクドナルドの店舗のアルバイト、大学3年の津山優一さん(仮名)。高校以来勤続約5年のベテランで本社での研修も経験。今は上級職として店内に約30人いるアルバイトも菅理、指導も行っている。
  • 精を出すのは海外旅行に行きたいとか、欲しいものがあるといった理由からではない。「実績をつくれば就職活動に有利だと先輩に聞いたから」。津山さんは真顔で話す。最近では仕事を柔軟に割り振り、スキルを向上させる仕組みを考えたことが自慢だ。
  • 2007年の就職に向けて人材育成にかかわる企業への訪問を始めており「何を身に付けたかをアピールすれば内定につながる」と期待する。店内には他にも「就職活動に役立つと聞いた」(2年男子)という大学生が目立つ。
  • 大学4年の佐藤理恵さん(仮名)は実際にアルバイトが役立ったと考えている。ローソンで一通り店舗運営を経験、「実感を持って話すことができ、面接での手ごたえは良かった」。7社の内定を獲得し、結局ローソンを選んだ。後輩にも「アルバイトが役立った」と話している。
  • リクルートは昨年11月、学生向けアルバイト情報誌「フロム・エー」関東版で就職活動に役立つ<Aルバイトを特集した。職種は外食やサービス業中心で、特集部分を首都圏の大学周辺で配布したこともあって問い合わせは通常の1.4倍に。渡辺一正編集長は「就職を切り口にすると反響が大きい」と語る。
  • こうした伝説≠ヘ広がり始めたようだ。「就職活動に役立つんだって。アルバイトしなさい」。大学1年の小田勇さん(仮名)は、母親にこうハッパをかけられて東京都内の飲食店で働き始めた。「就職活動はだいぶ先だが、何もしないよりは」
    面接でバイト経験を語る学生が増えているは最近のことで、企業からは戸惑いの声が上がる。
  • 「バイトで会計や人事管理を修得したといわれても判断に苦しむ」(採用担当者)。しかし、変化は企業がもたらしたものでもある。
  • 企業はかつて大量に新卒者を採用、必要なスキルは入社後に教えれば十分という態度だった。しかし1990年代に採用を大幅に絞ってからは、語学力、財務の知識など専門能力の有無も重視するようになった。
  • 「出身大学にこだわらない」「インターネットで情報提供・募集を行う」といったいわば門戸開放はあったが、一人ひとりの選別は強めた形。即戦力優先の姿勢は、様々な形で学生にも伝わった。
  • その結果、語学学校に通ったり、専門学校で資格の取得を目指す学生が急増した。ただ専門資格はだれもが取得できるわけではない。即戦力だと訴える材料を容易に手に入れるには――「アルバイト経験を生かす」という発想はこうした危機感から生まれた。従来もアルバイト体験は面接での自己PRの材料になったが、最近は具体的なスキルを挙げて説明するケースが多いのが特徴だという。
  • 問題は、膨らむ期待とは裏腹に企業にとって意味のあるスキルを習得した学生は多くないことだ。ある機械メーカーの面接で「交渉術を身に付けた」という学生によく聞くと、経験したのはレンタルビデオ店の店番だったという極端な例もある。
  • 明治大学の清水秀夫就職事務部長は「アルバイト経験に頼る学生の1部は、企業の即戦力志向に応えようとするあまり能力に合わないアピールをしている」と指摘する。
  • 学生側には「自分を鍛えないと実社会で通用しない」という意識は浸透。ただ「表面的なスキルや成果に学生の意識がこれ以上傾くと、企業とのずれは大きくなるばかりだ」(ローソン)。三菱重工業の担当者は「即戦力に期待する面もあるが、コミュニケーションなど基本的な能力も重視するということが学生にうまく伝わっていないかもしれない」と反省する。
         ◇    ◇
  • 経済産業省の調査では、学生の約6割が「企業の採用基準が明確でない」と回答。企業のニーズを推測し、求められる学生像を演じようと苦心している様子もうかがわせる。これから本格化する採用活動では、求める人材のイメージを企業側が正しく発信していくことが成否を左右するといえそうだ。(2006年2月20日 日経新聞より掲載)

  女性の有業率、20ポイント以上の差

  • 女性が働く姿が目立つかどうか、実は地域によって大きな差がある。
     最新の総務省就業構造基本調査(2,002年)によると、25歳から54歳の女性の有業率には、都道府県で20ポイント以上の開きがある。
  • 有業率が高い地域は福井県(78.1%)をトップに東北、北陸、山陰地方など。地方圏ほど三世帯同居の世帯が多く仕事と家事や子育てを両立しやすい、という事情もあるようだ。
     全国平均は65.6%。
  • 一方、政令指定都市を抱えるような大都市圏ほど、有業率は低い。
     「通勤時間が長いほど有業率は低くなる」との見方もある。
  • 働く女性の多寡と出生率の関連も指摘されている。
     昨年版の厚生労働白書は、女性就労が進んだ地域ほど出生率が高い傾向にあると分析した。
     少子化問題の背景は複雑だが、育児や子育てのニーズにうまく対応できれば、出生率上昇など好影響が出るかもしれない。
  • 人口減時代に入り、働き手の確保という文脈でも女性の就労に注目が集まる。
     地域の実情に応じたきめ細かい対応は、企業も含めた官民あげての課題になっている。(平成18年2月16日 日経新聞「なるほどビジネスMap」より掲載)

  2006年就職希望企業総合ランキングトップ3の求める人材

総合ランキング1位のサントリー人事部長 伊藤恭裕
しなやかな「やんちゃ人間」を求む
  • サントリーのDNAである「やってみなはれ」精神や自由闊達(かったつ)な社風に、何かおもしろいいことができそうだという期待をよせられ、大変高い評価をいただき光栄です。
  • 「水と生きる SUNTORY」というコーポレートメッセージには、「水」のようなしなやかさで、たえまなく動き、止まらず、育ち、成長して、自らの手で会社の未来形を作ろうという社員一人ひとりの意思も込められています。
  • 大きな夢の実現に執念をもち、既成概念や前例にとらわれることなく、常に新しいステージを切り開こうとする、元気で明るい「やんちゃ人間」を求めています。

    総合ランキング2位の全日本空輸(ANA)人事部長 片野坂真哉
    来れ、女性も男性も「あんしん、あったか、あかるく元気」な人!
  • ANAグループは、顧客志向・変革力・人間力を持った人材を求めています。
    お客さまに徹底的にこだわり、環境変化に対応するために何事にも果敢に挑戦し、国際性や熱意・バイタリティーなど他人とは違う何か、自分の持ち味をいかんなく発揮できる人。
  • ANAには幅広いフィールドがあり、5つの職種はどれも、一つひとつのフライトを支える魅力ある仕事です。
    エアラインビジネスに魅力を感じ、仕事を通じて自らを成長させていける「あんしん、あったか、あかるく元気」な方をお待ちしています。

    総合ランキング3位のトヨタ自動車人材開発部部長 犬塚 力
    あなたの成長は「何のために?」  あなたの就職は「何のために?」
  • 当社に高い評価をいただき、大変光栄に思います。
     トヨタは、「クルマづくり」を通じて世界中の人々に喜びを提供し、車の便利さ・魅力と地球環境を両立させることで、豊かな社会づくりの実現を目指しています。
     トヨタにはまだまだ成すべきことがたくさんあります。
     トヨタのチャレンジに終わりはありません。
  • われわれは、「就職する」ということは「社会をつくる側にまわること」と考えています。こうした考え方に共感できる人に、トヨタは自己成長の場を提供いたします。
     学生の皆さんには、ぜひ、社会の一員として、自分を磨き続けられるような就職をしていただきたいと思います。(2006年2月9日 日本経済新聞から掲載)
  就職希望企業ランキング

2006年の総合ランキングは1位サントリー、2位全日本空輸(ANA)、3位トヨタ自動車

日本経済新聞社は2005年10月から12月末にかけて、全国の2007年春卒業予定の大学3年生を対象に就職希望企業調査を実施した。
  • 2006年の総合ランキングは、1位、2位が昨年と同じサントリーと全日本空輸(ANA)で、3位は昨年4位のトヨタ自動車。
     サントリーは男女別、文理別ランキングでトップではなかったものの上位5社以内に入り、総合では1位となった。
  • 上位で目立ったのは、7位の三菱東京UFJ銀行(前年23位)と8位のみずほフィナンシャルグループ(前年28位)。
     2005年ランキングでは、銀行の最高位は13位だったが、今年は2行がトップ10入りした。
  • 新たに100位内に入ったのは、28位の東芝(前年105位)、67位のNTT東日本(前年105位)など13社。
     なかでも、88位の第一生命保険(前年240位)、89位の三菱UFJ信託銀行(前年406位)、95位のオリックス(前年259位)は100位以上順位を上げた。
  • 業種でみると100位以内に「通信・情報・教育・出版」20社、「農業・林業・鉱業・水産・食品」10社、「電子・電機」「運輸・倉庫・航空測量」各7社がランクインした。
  • カテゴリー別では、文系で全日空、男子と理系でトヨタ、女子で資生堂がトップだった。
  • 大学院生ランキングは、トヨタ、日立製作所、松下電器産業、サントリー、キャノンの順だった。

    総合ランキング(全体)
    2006年
    2005年
    企業名
    回答者数
    志望理由
    (1) サントリー 446 仕事がおもしろそう59.6%、規模が大きい59.2%、一流である53.8%、信頼できる44.6%、社風がよい44.2%
    (2) 全日本空輸(ANA) 436 国際性がある75.0%、仕事がおもしろそう72.5%、規模が大きい60.8%、一流である59.4%、信頼できる46.8%
    (4) トヨタ自動車 429 規模が大きい82.1%、一流である77.2%、安定している66.2%、国際性がある59.0%、信頼できる56.4%
    (8) 資生堂 370 一流である70.8%、規模が大きい62.2%、仕事がおもしろそう62.2%、信頼できる51.9%、広告マーケティング力がある50.8%
    (3) JTB 340 仕事がおもしろそう71.8%、規模が大きい70.3%、一流である57.4%、国際性がある50.9%、安定している42.6%
    (6) 松下電器産業 336 規模が大きい74.1%、一流である65.8%、信頼できる51.5%、技術開発力がある50.3%、安定している48.5%
    (23) 三菱東京UFJ銀行 315 規模が大きい86.3%、一流である72.4%、安定している48.3%、信頼できる46.0%、仕事がおもしろそう41.9%
    (5) JAL(日本航空) 303 国際性がある78.9%、仕事がおもしろそう71.0%、規模が大きい67.7%、一流である64.4%、社会に貢献している31.0%
    (28) みずほフィナンシャルグループ 303 規模が大きい76.6%、一流である59.4%、信頼できる53.1%、仕事がおもしろそう46.2%、安定している45.5%
    10 (10) 東京海上日動火災保険 270 規模が大きい74.1%、一流である72.6%、安定している60.0%、信頼できる56.3%、仕事がおもしろそう46.7%

    調査概要
    ※数値は各カテゴリー全体の割合

    ■調査期間 2005年10月1日から12月25日
    ■調査方法 就職情報誌「アドレ」「日経就職ガイド 会社研究」「日経就職ガイド」にアンケート用紙を同封し、就職希望企業先を5社まで記入してもらい郵送で回収
    ■有効回収数 4,556サンプル(男子=2,200  女子=2,356)

    志望理由トップは仕事が面白そう

  • 就職先として志望する理由についての質問では、「仕事が面白そう」が最も多く、「大規模」「1流」「信頼」が上位に並んだ。就職に対する考え方(就職観)についての質問では、「自分の生活と仕事の両立を重視する」という回答が多かった。
  • 企業選択時の重視項目は、「業種」「職種」「勤務地」の順だった。希望する職種は、男子、文系が「営業・販売部門」、女子が「管理(総務・経理・人事等)部門」、理系は「研究・開発部門」だった。
    (2006年2月9日 日本経済新聞から掲載)
  学生と企業、「就職に必要な資質」すれ違い・経産省調査

  •  企業は採用する大学生に協調性や行動力など社会人としての「基礎力」を求めているが、学生にはうまく伝わっていない――。
  • 経済産業省がまとめた「社会人基礎力に関する調査」で、就職に必要な資質を巡って企業と学生に認識のずれがあることが分かった。
     入社前の想像と入社後の現実が食い違い、「あきらめが早い」新入社員が生まれる原因になっている。
  • 企業は組織で仕事を進める。このため、学生を採用するときに重視する点もコミュニケーション能力や責任感、マナーなどとする企業が、取得している資格などを挙げる企業よりも多い。(2006年2月5日 日本経済新聞から掲載)

  15−34歳の無業者64万人

  • 人類の歴史と同じくらい古い言葉の一つは「最近の若いのは……」。
     いつの時代も年長者から見れば若い世代の甘さは気にかかる。
     だが、お説教ばかりしていてもお互い気詰まりだ。
     ニートだフリーターだとやる気のないように見える若者も、ちょっとした工夫で社会の力に変えられるかもしれない。
    ケース 千葉県安浦市、NPO法人ニュースタート
  • 長髪、ジャージー姿の若い男女がお年寄りの入浴や食事の世話に走り回る。
     「引きこもり」から立ち直ろうとする若者たちだ。
     この非営利組織(NPO)では介護施設や直営の飲食店で仕事を体験してもらい、社会に送り出す。
     「働きたくないんじゃないです。何とかして役に立ちたい。3年前から働く見城豊(28)は絞り出すように話す。
  • ニュースタートは引きこもりから脱した若者たちを終身雇用する会社、スローワークを2月に設立する。
     「元引きこもり」を正社員として雇い、派遣社員として企業に送り込む。
     すでに数十社との間で受け入れ協議が進む。
    自信失った10年
  • 2004年の総務省の調査によると、15−34歳で仕事や家事をせず、通学もしていない「無業者」は15年前と比べて6割増しの64万人となった。
  • 東大社会科学研究所助教授の玄田有史(41)は「90年代は社会が若者を育てる自信をなくした10年でもあった」と指摘する。
     企業は即戦力重視に傾斜し、若い活力を社会に注ぎ込む水路が目詰まりを起こした。
  • 豊かな時代に育った今の若者について、「恵まれていることに気づいていない」(60代男性)との声もある。
     次々に生まれるIT(情報技術)企業の若手経営者は突破力や貪欲(どんよく)さを備え、引きこもりなどとは対極をなすタイプも多い。
     だがそれは一部にすぎない。
  • 年間2万人もの若者が足を運ぶ大阪の浄土宗應典院。主幹の秋田光彦(50)は本堂を演劇などに取り組む若者に提供する。
     深夜まで出入りが絶えない若者の多くは学生やフリーターだ。
     他人との協業を通じて問題解決能力や働く力を学ぶ。
  • 應典院通いの経験を持ち、2年前にフリーターを辞めて顕微鏡メーカーに就職した戒田竜治(30)は「フリーターに戻りたいとは思わない。仕事はやってみて面白いものだと知りました」と語る。
     
  • 若者も社会も双方向対話力を高めれば何かが見えてくる。
     日本の将来のためを思えば、若い力を眠らせて良いはずはないのだから。(敬称略)(2006年1月9日 日本経済新聞から掲載)

  「働きやすい会社2005」総合ランキング

働きやすい会社とは、どんな会社だろう――。日本経済新聞社が実施した「働きやすい会社」調査結果によると、やりがいや賃金といった基本的な条件以外に、有給休暇の取りやすさなど、労働環境の整備が働きやすい会社の重要な指標となっているようた。企業で実際に働いているビジネスマンが重視するポイントは、皆さんが会社選びをする際にも大切な判断材料になるはず。参考にしてください。

ビジネスマン編
「仕事のやりがい」と「適度な労働時間」を重視
  • 「働きやすい会社」ビジネスマン向け聴調査では、企業で働く現役ビジネスマンに、「仕事のやりがい」「適度な労働時間」「高い賃金」のうち、どれを重視するかを聞いた。彼らが最も重視するとした項目は、「仕事のやりがい」(54.7%)。次が「適度な労働時間」で、04年の19.2%から27.7%に急伸している。具体的な項目別に重視する度合いは、「年次有給休暇の取りやすさ」を「非常に重視する」という声が最も多く、04年の48.8%から59.5%へと上昇。「実労働時間の適正さ」(44.2%)、「リフレッシュ休暇制度の充実度」(38.5%)、「育児休業制度充実度」(29.7%)、「介護休業制度充実」(25.1%)と、「適度な労働時間」に関する項目が上位に並んだ。この結果から、ビジネスマンが現在、どんな環境で働いているかが分かる。つまり、彼らは休暇を取りやすく、過度な残業のない環境を求めているのだ。
  • 翻って、企業の状況を見てみよう。最近まで大規模な人員削減を進めてきたため、社員が不足気味であるのに、景気の回復によって仕事量は増加。個人の労働時間は急激に増えている。その結果、適正な労働時間を求める声が強まっていると見られる。

    ビジネスマン意識調査
    最も重視する 仕事のやりがい54.7% 適度な労働時間27.7% 高い賃金7.6%
    次に重視する 高い賃金50点0% 適度な労働時間27.5% 仕事のやりがい22.5%
    3番目に優先する 適度な労働時間44.8% 高い賃金32.4% 仕事のやりがい22.8%

    ビジネスマンが重視している項目
    順位
    質問
    比率
    年次有給休暇の取りやすさ 59.5
    実労働時間の適正さ 44.2
    リフレッシュ休暇制度の充実度 38.5
    地域選択制の有無 35.3
    喫煙問題取り組への積極性 34.3
    休職社員早期復帰支援対策の充実度 30.9
    育児休業制度充実度 29.7
    年齢にかかわらない管理職への登用 27.2
    人事考課の評価基準の公開有無 27.1
    10 従業員の資格取得補助やキャリア開発支援の充実度 26.9

    働きやすい会社2005総合ランキング
    カッコ内は2004年順位、−は100位外
    順位
    社名
    1 (2) 松下電器産業
    2 (1) 日本IBM
    3 (3) 東芝
    4 (34) 大日本印刷
    5 (−) アジレント・テクノロジー
    6 (4) NEC
    7 (16) トヨタ自動車
    8 (69) ソニー
    9 (38) 三井住友海上火災保険
    10(19) 富士ソフトABC

    評価項目別ランキング
    カッコ内は総合順位、−は101位以下

    社員の意欲に応える制度
    順位
    社名
    1 (1) 松下電器産業
    2 (2) 日本IBM
    3 (4) 大日本印刷
    4 (10) 富士ソフトABC
    5 (5) アジレント・テクノロジー
    人材育成の積極性
    順位
    社名
    1 (6) NEC
    2 (7) トヨタ自動車
    3 (20) ソニーマーケティング
    4 (17) 富士通
    5 (48) CSK
    納得できる評価制度
    順位
    社名
    1 (1) 松下電器産業
    1 (4) 大日本印刷
    1 (8) ソニー
    1 (9) 三井住友海上火災保険
    1 (11) 東京海上日動火災保険
    1 (12) 松下電工
    1 (15) 凸版印刷
    1 (19) 東レ
    1 (26) 昭和シェル石油
    1 (32) 住友スリーエム
    1 (70) 日本興亜損害保険
    1 (−) 東洋エンジニアリング
    1 (−) トレンドマイクロ
    働く側に配慮した職場づくり
    順位
    社名
    1 (27) 三井化学
    2 (7) トヨタ自動車
    3 (2) 日本IBM
    4 (14) 東京ガス
    5 (11) 東京海上日動火災保険
    休暇・休業制度
    順位
    社名
    1 (2) 日本IBM
    2 (9) 三井住友海上火災保険
    3 (35) NTTドコモ
    4 (3) 東芝
    5 (1) 松下電器産業

(2005年11月24日 日本経済新聞から掲載)
  危ういニート観 若者より社会構造に問題

  • ニート(NEET)。職を持たず、学校にも職業訓練機関にも在籍していない若者を指すこの言葉は、昨年またたく間に流行した。
  • ニートは現代青年の欠陥を告発する言葉になった。
  • 若年雇用・教育政策にとっても最大のターゲットといってよい。
  • だが、ニート≠ヘ危険な眼差し(まなざし)だ。ニートには、働く意欲を欠いたひきこもり型イメージが付与されてしまった。
  • 政府の「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」には、意欲と自信を欠いて引きこもるニート像が濃厚に漂う。
  • ニート研究の第1人者小杉礼子さんは、ニートを
      @ヤンキー型(享楽的)
      Aひきこもり型
      B立ちすくみ型
      Cつまずき型(自信を喪失)に分類する。
  • 一見、先のニート像を実証しているようだが、根本的に違う。若者がなぜそのような状況に陥ってしまうのか、その分析が重要だと訴えているからである。
  • 困難に直面したとき、享楽に走り、自信を失い、立ちすくむのは若者だけではない。
  • ニートという概念を通して見なければならないのは、今の若者の「こころ」の欠陥ではない。
  • 数十万にもおよぶ若者をニートへの道へと向かわせ、脱出を困難にさせている社会構造にほかならない。
  • 労働市場と教育訓練機関、さらには家族のあり方に踏み込んで、ニートを生む背景を見る必要がある。
  • 流行概念は人々の目をひらかせるが、時に見えなくもする。(お茶の水女子大学教授 耳塚 寛明)(2005年10月24日 日本経済新聞から掲載)

  ファミマ、ニートの就職支援

アルバイト向けの研修ノウハウ活用

  • 定食につかないフリーターや、仕事を持たず就労教育も受けていない「ニート」の就業を手助けしようとコンビニエンスストア大手のファミリーマートが自治体と連携して支援講座を設ける。
  • コンビニ店舗の若いアルバイト向けの研修で蓄積したノウハウを活用、身だしなみやあいさつ、心構えなどを教える。

    自治体と組み講座
  • 地方自治体から受託する就業支援事業として始める。
  • まず、ファミリーマートの親会社の伊藤忠商事が産業振興策などで連携している岐阜県と契約、12月中旬から講座を開く。
  • 講師は原則、ファミリーマート社員が務め、1日で修了できる。
  • 岐阜県で開講した後、提供地域を広げる方向。
  • 受講してコンビニの仕事に興味を持った人には、同社店舗アルバイトや嘱託店長への紹介もする予定だ。
    (2005年11月16日 日本経済新聞から掲載)

  女性が働きやすい職場

正社員、心の支え重視

  • 「プラス1」読者のうち、正社員として働いている女性に聞いた。
  • 1位は「干渉されない」。「仕事で互いに協力する一方、私生活には過度に踏み込まないのがいい」(40代)。
  • 別の40代も「仕事に責任を持ち、他人と協力するが、べたべたしない」職場を望んでいる。
  • 「外資系企業に多い個人主義の会社なら、過干渉な日本的社会と違って、人間関係がスムーズ」(40代)という声もあった。
  • 2位の「上司や同僚に悩みを相談しやすい」については「理不尽な目にあったとき、聞いてくれる人がいると働きやすい」という30代の声があった。
  • 「いい助言者がいれば、この上ない」(40代)という意見も。
  • 「キャリアアップの目標となる尊敬すべき女性の先輩がいる」(30代)など、心の支えを重視する人も目立つ。
  • なんでもランキングで1位の「トイレがきれい」は3位。設備面については「やる気と情熱をもてる雰囲気があるなら、多少不便なことがあっても目をつぶる」(30代)という考え方もある。
  • (注)10月上旬に「NIKKEIプラス1」の読者モニター3236人にインターネットで調査。有効回答は613 (2005年10月15日 日本経済新聞から掲載)

  来春の新卒採用、企業が苦戦 充足率は昨年度下回る

  • 来年4月入社予定の新卒者の採用で企業が人数確保に苦戦していることが、就職情報サービス会社毎日コミュニケーションズの調査で分かった。
  • 内定者数を募集人数で割った企業の採用充足率が86.9%となり、昨年度を4ポイント下回った。
  • 未上場企業の採用充足率は79.7%で、上場企業の93.3%を13.6ポイント下回り、格差が出ている。
  • 同社によると、今年度は募集を拡大する企業が増え、各社とも思うように人材を確保できなかったためという。
  • 企業は(1)そもそも選抜対象になる応募者の数が増えない(2)内定を辞退する人が増えた、などの点から新卒採用は学生の売り手市場になっているとの認識を深めている。
  • このため、企業の採用満足度も低下した。
  • 「質・量とも満足」という企業の割合は昨年度より5.6ポイント低い32.8%にとどまった。
  • 内定を出す基準を「昨年より緩くした」と答えた企業は5.8ポイント増えて10.6%になった。
  • 同調査は、同社が98年から毎年行っているもので、今年度は国内の9000社にアンケートを送付し、1281社から回答を得た。
  • 充足率については1263社から有効回答があった。(2005年9月24日 朝日新聞から掲載)

  できる女の“必修項目”

礼儀作法・マナー 講座や検定花盛り

  • ビジネスシーンで役立てようと、礼儀や作法に注目する女性が増えている。
    洗練された立ち振る舞いは“できる女”の演出に欠かせないと、カルチャーセンターに通ったり、検定試験に挑戦したり。マナーの基本を身につければ、人間関係が円滑になるだけでなく、自信にもつながる。(板東玲子)
  • 「立場によってお辞儀の角度は変わります。下げた頭は1度止め、ゆっくり上げると美しく見えますよ。では、やってみましょう」
    東京都渋谷区にある読売・日本テレビ文化センター恵比寿の「礼儀作法と日常のマナー」講座。
    講師の城田美わ子さんが声をかけると、20〜50歳代の女性6人が姿勢を正した。
  • 転属してきた部下が上司にあいさつする場面。
    上司ならお辞儀の角度は約15度、部下なら深く45〜60度頭を下げる。
    首は曲げず、背筋を伸ばして腰から曲げるのがコツ。
    何度もペコペコとお辞儀したり、相手の顔を見たまま頭を下げたりするのはNGだ。
    「簡単なようでも意外と出来ない人は多い。
    お辞儀一つで相手を気持ちよくさせたり、不快にさせたりすることもあるんですよ」と城田さん。
  • 講座では美しいあいさつや言葉遣い、訪問時の作法など幅広く学ぶ。
    身につけば、ビジネスの場でも役立つと受講者は真剣だ。
  • 約半年前から通う派遣社員の中川さやかさん(34)は「改まった場や目上の人の前では、自分の言動に自信が持てず、モジモジ目立たないようにしていた。
    でも、マナーを学ぶことで自信が持てるようになってきた」と話す。
  • 求人広告を発行する「アイデム」の「人と仕事研究所」(東京)が働く男女約2000人を対象に調査したところ、「ビジネスマナー教育を受けたことがない」と答えたのは約7割。
    自分のマナーに自信のない人は多く、取引先や客から「注意を受けた」経験のある人も10%いた。
  • 外資系銀行に勤める女性(32)は、上司に「ご苦労様でした」と声をかけた際、「『お疲れさまでした』だろ?」と注意され、赤面した経験がある。
    「いくら仕事で実績を残しても、ささいなマナー違反で人間性を疑われてしまうこともある。
    最低限のマナーは身につけたい」と反省する。
  • 実務技能検定協会(東京)が主催する「ビジネス実務マナー検定」は昨年、約7500人が受験した。
    このうち約8割が女性だった。接客の技術や知識を検定する「サービス接遇検定」や「秘書検定」も大半が女性だ。
  • 「就職や再就職の面接などで美しい作法を武器に他者に差を付け、勝ち抜きたいと考える人が多いようだ」と同協会。
  • かつて女性を対象にしたビジネスマナーといえば、来社した客の案内やお茶の出し方、電話対応など、社内を舞台にした内容が中心だった。
    しかし、女性の社会進出が進むに伴い、男性と変わらないビジネスマナーが求められるようになってきたようだ。(2005年9月16日 読売新聞から掲載)

  自立支援、幼児期から=フリーター・ニート対策で「国民宣言」

  • フリーターやニートの増加など、若年層の雇用問題を解決するため厚生労働省主導で設置した「若者の人間力を高めるための国民会議」(議長・奥田碩日本経団連会長)は15日、初等教育の段階から職業などで自立できるよう支援する「国民宣言」を決めた。
  • 宣言は「人材が社会の基礎」と強調。その上で
    (1) 幼児期から意思疎通能力を身に付け、社会で自信を持てるようにする
    (2) 就職期に広くチャンスを与える
    (3) 働きながら学べる仕組みを整える
    (4) 就業への不安や迷いを持つ若者の再挑戦を支援する
    −ことをうたっている。(2005年9月15日 時事通信から掲載)

  ニート急増、学生を教育

講義・就業体験文科省が支援

  • 通学や仕事をせず、職業訓練も受けていない「ニート」と呼ばれる若者が急増していることから、文部科学省は27日までに、大学などで行われている将来の目標や職業意識を学生に持たせるためのキャリア教育を重点的に支援する方針を決めた。
  • 来年度予算の概算要求に約7億4千万円を盛り込む。
  • 文科省は「受験戦争の中で将来を具体的に考えずに進学した結果、明確な目標を持てない学生も多い。就職にも失敗し、ニートやフリーターになる場合もある」と指摘、大学入学直後からキャリア教育を充実させるとしている。
  • 総務省の労働力調査などによると、15歳から34歳のニートは2000年の44万人から04年の64万人に急増している。
  • 文科省は国公私立の大学や短大、高等専門学校を対象に来春公募。専門家による委員会の審査経て夏ごろに30程度のキャリア教育事業を選定し、毎年2千数百万円程度を原則3年間支援する。
  • 想定される事業は
      @キャリア教育のカリキュラム開発
      A企業や自治体の協力を得て、職業についての講義やインターンシップで単位が取れるような仕組みづくり
      B大学で学ぶ専門科目が仕事や人生とどう結び付いているかを考える機会の創設ーーなど。
    (2005年8月28日 日本経済新聞から掲載)

  中途採用が急増

ITや金融、30代前半中心

  • 最近の回復傾向を受け、人材紹介市場で正社員の中途採用需要が急増している。
  • IT(情報技術)や自動車関連、金融を中心に様々な業界から前年を大幅に上回る求人があり、とりわけ新卒採用が抑制されたバブル後世代の人気が高い。
  • 人材確保を急ぐ企業の姿勢を反映し、紹介手数料も高水準にある。
  • 利用が増えているのは、企業と求職者の情報を登録して条件があれば引き合わせる「登録型」人材紹介。
  • 最大手のリクルートエイブリック(東京・千代田)では7月末時点の中途採用求人数が52,050人と前年同月比で25%増えた。
  • 業界別では金融が72%、ITが38%と需要をけん引している。
  • パソナキャレント(東京・千代田)も7月の求人数が前年比で6割増えたほか、インテリジェンスへの求人数も6月時点で前年を45.3%上回る。
  • 求人数が多いのは25歳から30歳代前半の若年層。
  • 企業にはバブル崩壊以降に新卒採用が抑制され、いびつになった年齢構成を是正したい思惑もある。(2005年8月22日 日本経済新聞から掲載)

  評価にさらされる大学

評価の「目」養成急務

  • 21世紀になって日本の大学が経験した最大の変化は、様々な評価にさらされるようになったことだと思う。
  • 7年に1度の認証評価、さらに国立大は毎年、事業実績の評価を受ける。
  • 研究面では卓越した拠点大学を選ぶ21世紀COEが有名だが、教育面での評価もGP(グッド・プラクティス)をキーワードとして目白押しだ。
  • 先日、結果が発表された、特色GP(特色ある学部教育支援)、新しい教育ニーズに応じる現代GP。
  • 今年から教員養成GPと大学院GPも始まった。
  • 総じて優れた教育の取り組みを選定し、競争的環境の中で大学の質向上を図る政策である。
  • 評価される機会は格段に増えたが、その一方で、大学評価の時代を支える評価システムは脆弱(ぜいじゃく)というほかない。
  • とりわけ、評価者の質と量の両面で課題を抱える。
  • 大学は評価活動におびただしい資源を投入する。
  • 一連の評価結果が大きな影響を大学に与えるからである。
  • 選定されると財政的支援が約束され、また学生募集上の効果も期待できる。
  • 高校進路指導や受験産業も、近年、評価結果を注視する。
  • 突如として到来した評価の時代であるゆえに、評価のためのインフラ整備が遅れた事情は理解する。
  • だが評価の目が確かでない限り、大学の質的向上には結びつかない。
  • 目を育てるには時間がかかるが、評価者の評価と養成が急務である。
    (お茶の水女子大学教授 耳塚 寛明)(2005年8月1日 日本経済新聞から掲載)
  定員割れの私大最多 学生確保、最重要課題に

定員充足率開示すべき

  • 2007年度の「大学全入時代」を前に、私立大学の定員割れが一段と深刻になってきた。
  • 日本私立学校振興・共済事業団によると、今春入試で定員割れを起こした4年制私大は160校で過去最多。
  • 入学生確保が私大経営の最重要課題になったのを反映して、推薦入試による入学者も過去最高の43.6%に達し、大学入試の選抜機能も有名無実化しつつある。
  • 集計対象となった私立四大542校のうち、充足率(定員に対する入学者の比率)が100%を割込む定員割れ大学は160校で、
     過去最多。
  • 全体の29.5%を占め、前年度より0.4ポイントの上昇。
  • 01年度の30.2%に次ぐ高水準だった。
  • 「もっと定員割れが増えると思った」。大手予備校の担当者は語る。
  • 原因として考えられるのが、来年度は新学習指導要領実施後に高校へ入学した世代が、受験を迎えることだ。
  • 「旧課程世代が浪人を嫌ったことが、私大の学生確保に有利に働いた。
  • 来年度の動きはもっと大きいだろう」と、不気味な予測をする。
  • 定員割れの最大の要因は、18歳人口の減少と大学の増加だ。
  • 18歳人口は1992年の約2百5万人をピークに減少を続け、今年度は約137万人。
  • ところがこの間、大学は増え続けた。
      1992年度の集計対象私立四大は379校、05年度は542校で、増加率は43%。
  • 同時期、入学定員は35万6千人から43万千人に21.2%も拡大したが、志願者は442万6千人から301万6千人へ31.9%も減った。
  • しかも18歳人口は今後も減り続け、7年後は120万人を割込む。
  • 「大学経営冬の時代」は始まったばかりだ。
  • こうした環境下では、1度定員割れを起こすと、勢いを盛り返すのは大変だ。
  • データからも、その困難さが読み取れる。

    囲い込み激しく4割が推薦入学

    入試の選抜機能働かず
  • 今年度の私立4大入試では、入学者のうち推薦入試(アドミッションオフィス=AO=入試も含む)入学者の割合が43.61%と過去最高を更新した。
  • 10年間で10.3ポイントも上昇し、今では私大生の半数近くが1−3月の入試シーズンを経ずに大学の門をくぐる。
  • 入試の光景は急速に変わりつつある。
  • 推薦入試の拡大は、定員割れと密接な関係にある。
  • 学生確保に血眼な大学が、推薦を使った囲い込みに走ったからだ。
  • 推薦入試やAO入試は、1発勝負の筆記試験に頼らず、高校時代の学習歴や本人の意欲などをしっかり見極めて選抜することが本来の趣旨だが、高校の進路指導担当教師らは、「えっ!あの大学が、と驚く有名校からも、推薦で送ってほしいと申し出がある」「青田買いそのもの」といった声が相次ぎ、理念とはほど遠いようだ。
  • その一方で、筆記主体の一般入試は難関校を除くと、存在感を急速に失いつつある。
  • 大手予備校の河合塾は、一般入試の難易度が下がり過ぎ、選抜機能を事実上失った場合、偏差値をつけずにボーダーフリー(BF)ランクとしている。
  • 今年度は全私立四大の11.4%がBFだった。
  • ある予備校担当者は「入試の選抜機能がきちんと働いている私大は、せいぜい上の4割程度というのが実感」と打ち明ける。
  • なりふり構わぬ学生確保のツケを払わされているのは当の大学だ。
  • 入試のハードルが下がり、学生の学力低下に悩まされ、補習授業に追われる。
  • 「大学にこだわらなければどこかに入れる、と考える生徒が増えた」と生徒の学習意欲低下を嘆く高校教師もいる。
  • 定員確保に奔走する一方で、いかに大学としての質を高めていくか、大学はもうひとつの重い課題を突きつけられている。(2005年8月1日 日本経済新聞から掲載)

  「働かぬ若者」に新視点

変化求められる社会

  • ここ数年で、「フリーター」や「ニート(就労・通学・求職をしていない若者)」という言葉がすっかり定着した。
     研究者や政府などによって様々な調査が行われ、その実態が明らかになってきた。
     フリーター200万人以上、ニート80万人以上、失業者や派遣社員などを加えれば、多くの若者が不安定な労働状況に置かれている。
  • 今や、若者の雇用問題は、少子化や年金問題と並んで、日本社会が対処をすべき大問題となった。
     実態への理解は深まったが、フリーターや二ートに向けられる「視線」はなかなか変化しない。
     それは、「学校卒業ー正社員として就職」というコースを正常とみなし、彼らは、そこからはみ出した人であるという認識である。
     はみ出ていることは、本人にとっても社会にとってもよくない。
     だから、雇用対策を進め、彼らを正常コースに戻し、彼らをこれ以上増やさないために、就業意欲を高める教育を行うべきといった議論が、対策の本流をなしている。

    ●必然的存在と指摘
  • 「彼ら」に近い世代から、「彼ら」に対するこのような見方を覆す本が2冊出版された。
     ひとつは本田由紀氏の『若者と仕事』(東京大学出版会、2005年)であり、もう一つはは鈴木謙介氏の『カーニヴァル化する社会』(講談社現代新書、2005年)である。
     二人とも、フリーターやニートは、日本社会の根本的変動の中で必然的に生み出された存在と位置づける。
  • 教育社会学者である本多氏は、教育世界と職業世界の接続点に分析の焦点を絞る。
      1980年代まで「学校経由の就職(学校による生徒の就職先への振り分け)」が偶然的成功を収めたが故に、学校で職業に関する知識、技能を身につけさせる教育が行われてこなかったことを、多角的なデータで実証する。
     
  • 1990年代の経済・社会の変動と共に、学校経由の就職が崩壊し始める。
     つまり、フリーターやニートは、学校で職業的意義を身につける機会を失ったまま、社会に放り出されてしまった若者なのだ。
     だから、フリーターの中には、目的意識が明白でないものに加え、目的意識が明白なゆえに妥協できないものが混在しているのだ。
     そうであれば、「学校での職業体験」といったもので、この状況が改善されるはずもなく、「学卒ー正社員」というルート自体の再考と高校教育内容の抜本的改革を提言している。

    ●夢から覚めずに…
  • 社会学者の鈴木氏は、若者雇用の不安定化は社会経済的条件によってもたらされたことを前提として、「生涯フリーター」として生きざるを得ない人々が増え続けると予測する。
  • 私は、フリーターを「夢見る使い捨て労働者」と名付けた。
     「実現可能性が薄い」夢を見続け、将来のない単純労働や下働きしている現実の自分から目を逸らしている状況からネーミングしたものだ。
     私は、夢から覚めた時、危機が生じると論じた。
  • しかし、鈴木氏は、夢から覚めないで済む仕組みが社会の中に発生してきたことに注目する。
     フリーターの増大に呼応するかのように、インターネットやケータイが発達し、彼らは自我を分裂させることによって、不安定雇用状況に自ら「心理的適応」を果たしているという。
     彼らに幸福感を与えるのが、何らかのをきっかけによる「盛り上がり」、つまりカーニバルなのである。
  • 今後、フリーターやニートの存在をその中に組み込んだ制度設計が求められている。
     本田氏が提起するように「夢から覚めて」不安定状態から脱出したい人にはそのルートをつくり、フリーターのまま夢を見ていたい人には、生活できる方策を整える必要があるだろう。
     元祖二ートを名乗る二神能基氏が『希望のニート』(東洋経済新報社、2005年)に例示している豊かさにとらわれない生き方を参考にできるだろう。
  • すると、鈴木氏が指摘するように、日本社会は内的には幸福だが使い捨てられる大衆と、夢から覚めているがゆえに不幸な少数のエリートへと分裂する方向に向かうのだろうか。
     旧世代に属する私や若者の親たちには、想像したくない姿だが。(2005年7月10日 日本経済新聞から掲載)
  団塊退職「企業に影響」49%

技術の伝承困難、労務コストの軽減  内閣府が報告

  • 内閣府は8日、企業へのアンケート調査に基づく高齢者の社会参画に関する報告書をまとめた。
      2年後に始まる「団塊世代」の大量退職が企業活動に影響を与えるとの回答が49%にのぼり、経営問題としての関心の高さをうかがわせた。
  • 団塊世代が退職する影響が「かなりある」との回答は9.2%で、「多少ある」は39.8%だった。
  • 労務コストの軽減効果については「かなりある」が15.1%、「多少ある」が52.4%で、計67.5%の企業がコスト面からは肯定的にとらえていた。
  • 団塊世代の退職で年齢構成が若返ることについては「どちらかといえば組織が活性化する」と期待感をにじませる企業が44.6%と約半数に上り、「特に影響はない」(29.8%)、「どちらかといえば企業活力が低下する」(8.9%)を大きく上回った。
  • ただ技術や技能の伝承について4.7%の企業が「かなり困難になる」、41.4%が「多少困難になる」と回答した。
  • 一方、労働力が減少する社会での人材確保は「より困難になる」とした企業が34.9%。「大きな変化なし」との回答は40.2%で、労働市場の見通しは分かれた。
  • 人材確保の方法について、高齢者の活用を「拡大する方向」とした企業は24.0%にすぎず、「大きな変化なし」は59.1%、「縮小する方向」は6.1%に達した。
  • 調査は今年1月に従業員数30人以上の約8,000社を対象に実施し、2,734件の有効回答があった。(2005年7月8日 日本経済新聞から掲載)

  失業率横ばい、5月4.4%

ニートなど非労働力人口 7年11ヶ月ぶり減

  • 総務省が1日発表した5月の完全失業率(季節調整値)は4.4%と前月比で横ばいだった。
      ただ、就業する女性が増えたことから、退職者や主婦、ニートと呼ばれる若者などの非労働力人口が7年11ヶ月ぶりに減少に転じた。
     完全失業者数も前年比で12万人減り、雇用情勢は改善が進んでいる。
  • 男女別の完全失業率は、男性が4.6%と前月比で0.1ポイント上昇。
      女性は0.1ポイント低下の4.2%だった。
  • 非労働力人口は、全体から職に就いている人と職探し中の完全失業者を除いたもの。
      定年による退職者増で男性は前年同月比で増えたが、女性は35万人減だった。
  • 女性は企業に雇われる雇用者が2271万人と同52万人増え、産業別で好調な医療・福祉分野を中心に、主婦らの参入の動きが強い。
  • 世代別では、25−34歳で転職をするために現在の仕事を離れる「自発的失業」が増え、男性の失業率は5.3%と前年比で上昇。
     一方、60−64歳では4.4%と同0.8ポイント改善し高齢者の雇用環境の改善を裏付けた。
     厚生労働省は「雇用情勢は全体としていい方向にある」との判断を示した。
  • 厚労省が同日発表した5月の求職者1人あたりの求人の割合を示す有効求人倍率(季節調整値)は0.94倍と、前月と同水準だった。(2005年7月1日 日本経済新聞から掲載)

  若者の半数が離転職

内閣府調べ 「仕事合わない」26%・「人間関係」17%

  • 内閣府は30日、若者の自立に関する意識調査の結果を発表した。
     就職したことのある若者のうち約半数の49.4%が転職や離職した経験があることが分かった。
  • 離職・転職前の勤め先の勤続期間は1年以上2年未満が12.2%で最も多く、平均約27カ月だった。
  • 調査対象は15歳から29歳の7500人。
     学校卒業や中退後に働いた経験のある2133人のうち最初の就職先に今も勤めている人は46.5%。
     
  • 離職理由は
      @仕事が合わない・つまらない(26%)
      A人間関係が良くない(17.8%)
      B結婚・出産(14.8%)
      C賃金が低い(14%)
     の順だった。
     
  • 青少年のコミュニケーション能力では、インターネットで知りたい情報を集めることを「うまくできる」と答えた人が48.2%とほぼ半数だったのに対し、よく知らない人と自然に会話することができる人は26.2%にとどまった。
     自分の意見を人に説明することができる人も25.2%だった。
  • 内閣府の「若者の包括的な自立支援に関する検討会」は同日、地域で若者を支える体制を整備する事などを提言した。(2005年7月1日 日本経済新聞から掲載)

  フリーター増、規制緩和 背景

OECD分析
【パリ=奥村茂三郎】
  • 経済協力開発機構(OECD)は28日、「雇用アウトルック2005」と同時に公表した日本に関する講評で、卒業後も定職に就かないフリーターが増えている背景に規制緩和をあげた。
    「パート労働や人材派遣を誘導する規制緩和は若年者の雇用に逆効果になりかねない」と見ている。
  • 総雇用に占めるパートなど短時間労働者の割合は日本が25.5%と主要7カ国(G7)で最も高かった。
  • 常用雇用者への解雇に対する規制が加盟国の平均より厳しい半面、パートや人材派遣に関する規制は緩い。
     雇用期間や労働時間が短く不規則なため「高い技能の修得と生産性に負の効果を及ぼし、若年者が常用雇用への展望を失う恐れがある」と警告した。
  • 同時に発表した失業率見通しによると、日本は2005年4.4%、06年4.1%と低下を見込んだ。(2005年6月29日 日本経済新聞から掲載)

  大学全入時代

  • 文部科学相の諮問機関、中央教育審議会は、少子化と大学志願率の頭打ちにより、大学・短大の進学希望者数と、大学の合格者の総数が2007年度に同数になる、と試算している。
  • 当初予想より2年早まり、数字の上では2年後に志願者全員が入学できる時代が来る。
  • 試算によると、07年春は現役志願者が65万人余と04年より5.6%減少。
      浪人も3分の1まで激減し、全志願者数は69万9000人に。
      微減となる合格者総数と同数になる。
  • 私立大や短大ではすでに定員割れなどに苦しむケースも出ており、
     法人化した国立大や公立大も含め、日本の大学は一層厳しい経営を迫られることなる。(2005年6月20日本経済新聞から掲載)

  文科省 ニートの実態調査へ

「生涯学習」など中教審諮問

  • 中山成彬文部科学相は13日の中央教育審議会総会で「新しい時代を切り拓(ひら)く生涯学習の振興策」と「青少年の意欲を高め、心と体の相伴った成長を促す方策」の二点を諮問した。
      職探しも進学もしない「ニート」の解消を図る学習手段の検討などを求めており、文部科学省は同省として初めてニートの実態調査も行う。
  • 生涯学習に関する諮問は、国民一人ひとりの学習ニーズを把握し、適切な学習機会を提供することが狙い。
      その一環として学校教育や社会教育を通じたニートの防止策を探る。
      一方青少年の意欲を巡る諮問は生活習慣の乱れ、「学ぶ意欲」の低下といった課題に心理学の成果などを利用して対処する。
  • 文科省は審議会の検討材料として、ニートの若者に対する聞き取り調査を行い、本音≠把握したい考え。結果は今秋をメドに報告する。
  • 二つの諮問について、中教審は2006年夏に中間報告、同年中に答申をまとめる予定。
    (2005年6月14日 日本経済新聞から掲載)

  「海外勤務あり」人気急落

若者の「逆国際化」

  • 日産自動車に仏ルノーが資本参加、カルロス・ゴーン氏がトップになったのは1999年。
      当時は驚きだった外国人経営者もその後、海外の企業やファンドによる相次ぐ買収で珍しさも薄れてきた。
  • 国内資本の企業でもトヨタ自動車や旭硝子などに外国人役員が誕生。
      ソニーでも初めて米国人が会長に就く。急速に進む経営の国際化。日本人の意識も変わりつつあると言いたいところだが、気になる動きもある。
  • 社会経済生産性本部が今春、新入社員を対象に実施したアンケート調査(回答1848人)によると、「海外または外国人が多い職場で働きたい」と答えた人は全体の35%と前年比で一気に12ポイントも低下した。
  • リクルートの就職人気ランキングでも、海外勤務志望の学生が目指す企業の代表格だった大手商社が6年前から上位20社から姿を消している。
  • 「国内の証券会社でじっくりと自分の実力を磨きたい」。今春、大学を卒業したA氏(24)は高い競争率をくぐって数人だけが得た大手外資系証券の採用内定を断り、今年4月、大和証券SMBCに入社した。「別に海外で働くことが最終目標ではないから」と言う。
  • 敵対的買収への防衛策を巡る議論では外資警戒論も浮上した。次代を担う若者の国際志向の低下が続くようなら、「島国ニッポン」からの脱却も危うい。(2005年6月10日 日本経済新聞から掲載)

  4月失業率4.4%に低下 ニートなお高止まり

厚労省 就業施策に反映へ

  • 総務省が31日発表した4月の完全失業率は6年4ヶ月ぶりの4.4%まで低下した。
     全体の雇用情勢は改善を示しているといえるが、職探しや職業訓練をせず「ニート」などと呼ばれる若年(15〜34歳)の 無業者は65万人台での高止まりが続いている。
     若者の仕事離れは深刻だ。
  • 4月の労働力調査結果によると、就職したり職探しをしたりしていない若者の「非労働力人口」は1108万人。
     このうち、家事と通学を除いた無業者は62万人に上る。
  • 5年前は出生数
     雇用情勢が最も悪化していた時期の2002年4月の61万人と比較しても、無業者の実数は増えている。
  • また、4月の全年齢を合わせた非労働力人口は前年同月期比で31万人増えて4441万人となったが、このうち職探しはしていないものの就業を希望する人は498万人と34万人も減った。
     「高齢を理由とする退職者を差し引いても、就業をそもそも希望しない若者が増えていることの証し」(総務省)との指摘もある。
  • さらに、業績回復による企業の採用意欲の高まりも、恩恵は新卒採用に偏りがち。
     25〜35歳には、ほかの年代に比べ最も多い15万人の2年以上の長期失業者がいる。
     「氷河期といわれた過去数年に就職できなかった層」(厚労省)が無業のまま高齢化する可能性もある。
  • 厚労省は現状を踏まえ、30日にまとめた職業能力開発に関する報告書では、技術力を身に付けさせる従来型に加え、職業意識の形成などを新たな重点課題とした。合宿生活で基礎から学ぶ「若者自立塾」を今夏にも始めるなど、就業施策に反映していく考えだ。 (2005年6月1日 日本経済新聞から掲載)

  就職先、安定志向高まる

  • 東洋大学が今春の新入生約2400人とその父母1200人に、卒業後の進路を聞いたところ、新入生の61.0%、父母の52.3%が「一生勤められる企業に就職」をあげた。
  • 5年前の新入生でも「一生勤められる企業」がトップだったが、44.1%にとどまり、他方で、「転職してキャリアアップ」(33.3%)が、今年の新入生(10.4%)の3倍もあった。
  • 「転職してキャリアアップ」は新入生女子で10.1%だが、その父母は34.2%。女性が働くことに世代間の差異も見られる。(2005年5月16日 日本経済新聞から掲載)
  就活スケジュールその2

1月〜 後半期(応募・選考期)

  • 年が明けるとエントリーシートの受付が始まり、早い業界では2月には締め切られる。
  • 専用のノートを作って、志望動機や自己PRなどをこまめに整理しておくようにすると、エントリーシートを書くときに役に立つ。
  • 3月には選考が本格化し、4月には多くの企業の選考が集中すると見られている。
  • 就職活動ではいくつもの企業の選考が同時に進むので、スケジュール管理はしっかりと行おう。

    1月 冬期インターンシップ開催。OB、OG訪問
  • 会社や仕事の実態を知るには、その企業で働く社員に聞くのが一番。
  • なるべく早い時期から就職活動が本格化する直前のこの時期までにOB・OG訪問を行い、具体的な仕事を知り、志望動機やその企業で自分をどう生かせるかのアピールポイントを確立しましょう。

    2月 エントリーシート受付開始
  • この時期から実際の企業への応募となる「エントリーシート」の受付が開始されることが多いです。
  • 締切の期日は厳守し、心して臨みたいものです。

    3月 エントリーシー締め切り、会社説明会実施
  • 本格的な就職活動シーズン到来。
  • エントリーシートが第一次選考となる企業が多いです。企業によって選考の回数やスタイルにはかなりの違いがあります。

    4月 筆記試験、面接開始
  • 大半の企業は4月以降に内々定を出しますが、なかには3月ごろから内々定を出す企業もあります。

    (日経ナビから掲載)
  就活スケジュールその1

  • 就職活動はおおまかにいって、情報収集が中心の前半期と、選考が中心となってくる後半期に分けられる。
  • 年が明けるとエントリーシートの提出、説明会への参加、そして面接など、かなり忙しくなってくる。
  • 自分なりに見通しを立てながら、余裕をもって就職活動を進めよう。

    10〜12月 前半期(情報収集期)
  • 大学生が知っている企業の数は、世の中に存在する会社の数から見ればごく一部に過ぎない。
    自分が知らない業界について興味を広げていこう。
    就職情報サイト、就職情報誌に掲載されている業界MAPなどを眺めるだけでも参考になる。
    また、年内に開催されるオープンセミナーはその業界への興味や知識がなくても気軽に参加できる仕組みになっている。
    このようなイベントも利用して、積極的に情報を収集しよう。

    10月 資料請求開始、各企業の採用サイトオープン
  • 就職活動が本格化するのはこのあたりから。
  • 各志望企業の採用サイトをチェックするのも忘れずに。
  • また筆記試験(適性テスト・一般常識)の対策も早めにスタートしておきたいものです。

    11月 Webエントリー開始、セミナー・イベント開始
  • セミナーやエントリーについて、詳細情報が発表され始めます。
  • 志望業界・企業の情報をしっかりチェックし、絞り込みを開始しましょう。

    12月 冬期インターンシップ募集
  • 冬季インターンシップは夏季インターンシップに比べて実施企業が限られています。
    (日経ナビから掲載)
  採用、7月には過半数修了

  • 日本経済団体連合会の2004年度新卒者採用アンケートによると、4月に採用活動を始めた企業が43.0%と最多。
  • 特に4月上旬開始が33.8%を占めた。
  • また15.1%の企業が2月以前に始めている。
  • 内々定通知を出し終えた時期は6月が24.3%と最も多く、6割以上が7月までに採用活動を終える。
  • 学生は3年生の後半から就職活動の準備を始めるのが一般的。
    内定した学生は残りの自由時間をおう歌し、内定が出ない学生は秋以降も活動を続けるため、4年生の教育が成り立たないという不満は根強い。 (2005年2月26日 日本経済新聞より掲載)
  失業率4.7%に悪化 2月

雇用好転にらみ求職増
  • 総務省が29日発表した2月の完全失業率(季節調整値)は4.7%となり、前月比で0.2ポイント上昇した。雇用情勢の好転をにらんで新たに職探しを始めた人が増えていることなどが影響した。
  • 悪化は7ヶ月ぶり。総務省は「雇用情勢改善は続いているものの、今後の動きを注視したい」としている。
  • 男女別の完全失業率は男性が前月比0.2ポイント上昇し5.0%、女性は0.1ポイント上昇の4.2%。就職者数は6,224万人と前年同月比で15万人の増加。
  • 自営業・家族従業者数が911万人と12万人増えた。
  • 農林、建設、製造など男性の就業者が多い分野で就業者数の減少が続いている一方、女性の多い医療・福祉、派遣などのサービス業の好調が続いた。
  • 完全失業者数は308万人で、一年前に比べると22万人減少。リストラが一段落したことなどを反映し「勤め先都合」による失業は74万人と25万人減った。
  • 逆に、条件のよい仕事を求めるなど「自己都合」の失業が115万人に上がった。
  • 厚労省が同日発表した2月の求職者一人当たりの求人の割合を示す有効求人倍率(季節調整値)は0.91倍と、前月比横ばい。
  • 新規求人数は前年同月比11.6%増。(2005年3月29日 日本経済新聞から掲載)
  理系の女性就職が有利

大学・院に進学増加 企業から追い風

  • 大学に進学する女性の理系志向が強まっている。
  • 医・歯・薬学部など従来から入学者が目立った学部だけでなく、機械・電気など男子学生が多数派を占めてきた学科に入る女性が増加。
  • 文系に比べ、職種を選びやすいことが大きな理由だ。企業の研究・開発職は現状で男性が九割以上を占めるが、それを変える原動力となりそうだ。
  • 文部科学省の調査によれば、2004年の大学の理系学部入学者に占める女性の割合は26.4%と、1994年の19.8%から大幅に上昇した。
  • 東京理科大では04年の女性卒業者は、昼間学部で694人と、95年卒の1.7倍になり、全体に占める割合も初めて二割を超えた。
  • 一番大きい理由と考えられるのは、改めて女性の専門職願望が強まっていること。
  • いわゆる一般職を採用する企業が激減し、女子学生はより資格や能力を意識する必要に迫られている。
         ■ □ ■
  • それは大学院進学率の高まりでも明らかだ。
  • 理系学部に企業が与える就職の推薦枠も、実質的には修士以上が優先されがち。
    研究職などを